カテゴリー「無線機修理/リストア」の323件の記事

末永く大切に・・・

2024年10月20日 (日)

FL-7000 10年ぶりの再修理、メーターランプLED化

YAESU FL-7000リニアアンプ、修理はもうやっていないのですが10年前に修理したオーナー様から相談が有ってトランジスターも準備してもらっていたのでアフターサービスのような感じでお受けしました。

200W程度しか出力が出ず、プロテクションがかかるとのことです。
Fl7000

この機種、10年前にも書きましたが25kgもあって、もう体力的に2階のシャックに一人で持ち上げることはできません。よって玄関で分解して部分ごとに診ていくことにしました。ただ、200V動作なので玄関には来ておらず、100Vに一旦変更して動作させる必要もありました。

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ファイナル部のみ取り出してチェックです。50V動作させていますが、20V程度印加して各部の電圧をチェックしたところ片方のユニットにおいてベース電圧がおかしく、トランジスターが不良になっていると判断。10年前に交換した石とは違う方のユニットです。

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テスターで診ても正常。しかし、トランジスターチェッカーで診ると増幅はしない単なるダイオードになってしまってました。もう片方は正常と出るものの、B <-> E 電圧が高くなっていたのでこちらも不良と判断、PushPullの両方交換です。

これでユニット単体でのチェックは正常となりました。

<メーターランプのLED化>

メーターランプが切れているので可能ならそちらも対応して欲しいとのご要望。
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YAESU特有の横長電球です。これをLED化するのはちょっと工夫が必要...
これが正解っていうのはありませんが、私なりの方法で対応することに。

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電球色チップLEDをふたつ使って横長に対応する措置を取りました。

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オリジナルとは雰囲気が異なりますが、いい感じに仕上がりました。
リニアアンプの入手が困難になってしまったので、古い機種でも貴重です。

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2024年4月18日 (木)

自作に適したファイナル DRI方式 SOT89 ⇒ TO220 変換

電子部品の表面実装化/小型化で自作がやりにくくなってきました。特にファイナルの石をどうするかが大きな問題と。三菱のRDシリーズが10~20W出力程度のファイナルとして多用されていたのですがTO-220パッケージは時代の流れによる実装方法の変遷でディスコンとなってしまいました。
Rd16hhf1

代用となるもの、何か無いかと私なりにAliexpress等を探してみたところ下記のSOT-89パッケージ品がまだ安く入手できそうな感触です。

・RQA0009SXTL
⇒安いがディスコンになっていてフェイク品を摑まされる可能性大きい。私も掴まされた(泣)

・AFT05MS004NT1
⇒秋月で170円で売っていたが販売終了になりました。ただしAliで入手可能。

・HTL7G06S009P
⇒RQA0009の代用品としてAliで売られている。規格等詳細不明、中国メーカーの模様。

・DS05
⇒これも中国製。詳細不明 (人柱希望)

最有力は AFT05MS004NT1 でしょうか。ただ、ドレイン損失が20W以上と大きくフル規格で使う場合、放熱がネックとなるようで使用に当たって難しそうです。

そこで私なりに考えてみたのが

SOT-89をTO-220に変換しちゃえ!!

です。

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ジャンク箱に眠っている壊れているのとか、使わないTO-220パッケージをドナーとしまして…

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プラスチックモールドをカチ割ります。

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ダイを削り取ってハンダが乗るよう、金属部分のみとします

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このように取り付け、ドレインとゲートを適当なリード線を付けます。
(使わない抵抗とかコンデンサを使うと作業しやすかった)

使ったのは AFT05MS004NT1 ですが RD06HHF1 と同一回路でRF Power AMPを作ってみたいと考えています。


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2024年2月22日 (木)

FT-1000MP MARKⅤ バックライトLED化

久しぶりの更新となります。

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ローカル局からの依頼、YAESU FT-1000MP MARKⅤ 200W機ですね。液晶表示が暗くて見にくい、なんとかしてくれ!!ってことで賜りました。初めてお目にかかるリグです。

過去に一度FT-1000MP、同様の症状でLED化した経験もあるのでこの機種の持病みたいなもんですね。バックライトにCCFL使っているのでどうしても寿命が来ます。左側が特に暗いですね。

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過去に実施した時に購入したテープLEDが残っていました。これを使います。

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ここまでの分解が大変。回路を追って不良箇所を見つける必要が無いので、この作業を苦と思わないんだったら、誰でもできそうな気もします。ただ、多数のコネクターを外す必要があるので、写真を取って組み立て時に間違いないようにすることは大切。

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テープLEDは両面テープで接着できるようになっていますが、それだけでは固定できなので反対側にも細工して取り付ける必要があります。左側がもうひとつLED光源足りないですが、ここは目をつむってもらうことに。

Mark5_05Mark5_06

無事成功しました。

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2023年11月12日 (日)

IC-2500 1200MHz PLLアンロック

Ic2500_00

久々の修理記事です。
知り合いからIC-2500、1200MHz側が動作しないとヘルプ。この機種は表面実装部品への移行時期であって修理できないかもしれないと了解いただいた上、お受けしました。

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1200MHz側のVCOをスペアナで調べてみると…発振はしているもののデタラメにふらついている状態。はい、PLL アンロックです。VCO は約550~600MHz付近を発振させているのでHF機のようにトリマーコンデンサやコイルは無く、調整するところはありません。

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ちなみに、スペアナでの調べ方は周波数が高いため、VCOにリード線(ワニグチタイプのBNCケーブル使用)を近づけるだけで十分ピックアッフできます。このあたりは楽かもわかりません。

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PLL部の回路図を解析してみます。VCOバリキャプへの供給電圧(ロック電圧)が3V程度でダイヤルを回しても変化ありません…
また、この回路を見て驚いたのが2SK125を発振に使っているところ。こんな高い周波数で使えるのかなとデータシートで調べてみると700MHzまでのパラメータが有って、無理な使い方では無いようでした。

既に「不良」と書いてますが…

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目星を付けていた、ループフィルターに付いているタンタルコンデンサーがショートモードで壊れ、電圧がコントロールできない状態でした。タンタルをやめて、大容量のチップ積層セラミックコンデンサに交換したところ、ばっちりロックするようになりました。

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その他、メモリーバックアップ用リチウム電池は空に…CR2032 + ソケットに。その他、リファレンス周波数の再調整などを実施して完了としました。

1200MHzの無線機は貴重ですもんね。

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2023年4月30日 (日)

Collins KWM-2A の修理とTwitterでのプチバズリ

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知り合いのOMさんよりCollins KWM-2Aを修理してくれないかと依頼があり、引き受けました。
1960年代に販売され、26,000台も製造された機種でTRIOやYAESUのSSB機のお手本になったような先駆け的存在な無線機です。

受信も送信もできません・・・

AFからチェックしていきました。VRを上げるとサー音は出るのでIF以降は生きており、それより前に不具合が。
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リレーに接触不良があることを突き止めました。50年前のリレーなんて当然入手できないので接点洗浄ってことで分解です。IPAを染み込ませた紙で接点を擦ると真っ黒・・・。これで受信はできるようになりました。

でも送信がダメです。

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この機種はCWやTUNE時は1750Hzのトーン発振器を動作させて、いわばマイクの前で口笛を吹いてシングルトーンを出すしくみになっています。1750Hzはスペアナで見ることできないのでオシロも登場させての原因探りとなりました。

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内部配線はこんな具合…スパゲッティ??  カオス??? 配線を追いかけるのか非常に大変。

この写真をTwitterに上げることで後述する「プチバズリ」が発生します。

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送信できない原因はコレでした。
(写真みても何の部品だかわからないと思う、多分)

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これ、バランスドモジュレーターに使っている4本をワンパッケージに入れたクワッド・ダイオードなんです。当然、こんなものありません。無いので作るしか対策は無しです。

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1S73Aというゲルマニュウムダイオードが多数所持しているのでこれでブリッジを組んでみることに。「ブリッジ」じゃありませんでした、似ているけど向きが異なり、これはリングダイオードですよね。

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ピンボケで見ずらいですが、うまく動作しました。
(キャリアバランス調整は必要)

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米国仕様なのでAC 115Vで動作させるのが通常、それをAC 100Vで動作させているのでこんなもんです。

まだまだ不具合はありますが、ひとまず動作するところまで持ってくることには成功です。

<バズリの原因>

あのカオスな配線をTwitterで見た方。。。

2500以上のいいね、940のRT、30万 PV・・・が付きました。
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そのコメントは。

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多くのコメントが「なぜ基板を使わないんだ」という意見。
今の技術者はシャーシ+ラグ板でこのような配線を行っていた時代を知らないので「配線において基板は基本であって必然なもの」と考えているようで、この配線が新鮮に映ったんでしょうね。確かにあの配線で20年間に渡り26,000台も製造されたのは不思議ですが、ジェネレーションギャップを感じた次第です。

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2022年1月21日 (金)

1400円で落札した不動のTS-700で遊ぶ(10)

※注:このプロジェクトは最後まで完成(達成?)しない可能性もありますのでマネしようとか考えないほうが良いかもしれません。

Bpf_99


さてLocal発振器のメドが立ったので構想に沿って、あれこれ設計していきます。入力側のBPFです。


Bpf_00

メーカー製のゼネカバ機は、こんなふうに周波数帯別に分割されていて、高級機になるほど、この分割数が多く設計されており帯域外妨害電波の影響を受けないとしています。7MHz出ているときに14MHzで至近距離のローカルさんがQRVすれば抑圧を受けるとか洒落になりませんもんね。

メーカー製回路の設計を真似ようと、BPF設計ソフトを探してみたのですがありません・・・
LTspice などだったら可能なのでしょうけど。

Aade

AADE filter design というフリーソフトで設計はできるのですが、出力される回路が複雑すぎて作る気になりません。お遊びでやっているんで・・・。

とりあえず中波放送帯はLPFでOKなので SVCfilter で設計してみました。

Lpf_2m
急峻な特性が得られるチェビシェフ型で。

いろいろと考えあぐねたところ・・・
Ts700_40
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まだちゃんと実装できるか不明なのですが、TS-520のTUNE機構に使っているバリコンを使って6~12MHzをカバーする原始的なマニュアルチューニング案が浮上してきました。

(つづく)

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2022年1月10日 (月)

1400円で落札した不動のTS-700で遊ぶ(9)

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私ではできないと、懸念していたArduinoによるSi5351Aのコントロールスケッチですが、他人様のスケッチをいろいろと参照し、見様見真似であれこれ実施し、Twitterで尋ねたりしているうちに、とりあえずは自力で完成しました。やればできるじゃないのwwTs700_32
3.3V版のArduino pro mini を使いました。Si5351Aが3.3V動作のため、I2Cのレベルシフターが不要でそのまま直結できるためです。USB端子が無いのでスケッチ書き込みはFTDIのシリアル・パラレル変換が必要です。

配線はこんな感じ。
Ts700_33
デジタルpin 2~5のいづれかがHighになるかで発振周波数を変える(TS-700のチャンネルスイッチでバンドチェンジ)ことができるようにとスケッチを作りました。

当初、デジタルpinにPullダウン抵抗が必要だとは知らずに発振させてみたところ、このとおりデタラメ発振してしまいました。HighかLowかがうまく判定できないんですね。

各pinを抵抗でpullダウンすることで、正常な発振をしました。

(つづく)


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2022年1月 5日 (水)

1400円で落札した不動のTS-700で遊ぶ(8)

さて、自作フィルター搭載の目処がたったので、どう料理してHF帯受信機にするか??を考察してみました。

まずはゼネカバ受信機を目指したもの。
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144MHz帯に変換するか、IF(10.7MHz)に変換するかですが、この方法だとゼネカバは実現しますが、TS-700へは固定周波数が出力され外付け受信アダプターみたいなものになってしまいます。選局もそのアダプターに付けたダイヤルツマミで行うことになり、せっかくTS-700についている2重ダイヤルを回す感触が無くなってしまうことになります。

そこで・・・
Ts700_25
ゼネカバ受信機ではありませんが、放送があるHF周波数帯域をTS-700のFIX Ch SWを使ってバンド切り替えみたいな感じに使い、選局はVFOで実施する方法とすることにしました。これだとTS-700の内部に内蔵してしまうことも可能です。

ここからは、自力でArduinoでSi5351Aを動かすスケッチを作ることができないので、ソフトウェアに詳しい方の協力が必要となってきます・・・さて完成するかは???です。

(つづく)

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2022年1月 1日 (土)

1400円で落札した不動のTS-700で遊ぶ(7)

TS-700のIF回路を再検討してみまた。
Filter_01_20220101165301

◯でかこった部分。ここで気になったのは33pFと1mHのLCが入っているところです。

実際の実装はこんな感じであきらかに、問題が発生し後から追加した形跡があります。
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入力側はQ8のエミッタフォロワ、出力側はIFTの2次側リンクコイルに接続されており、いずれも低インピーダンス。これに33pFという小さいCを通すということは、既存のフィルターとのマッチングを考えて追加したものかと・・・。

だったら、ここをパスしてみればどうかと。
Ts700_23
LTspiceなどのシミュレーションソフトで検討してみるのが良さそうですが、とりあえずは私の感と経験で「まずはやってみよう!!」ってことてでテストしてみました。

幸いにも想定が当たったようで、帯域内リップルがS=1以内に収まるようになりました。

SSGから、143.5MHzのローカル発振信号をダイオードDBMに入れて、非同調のなんちゃってコンバータを作って聞いてみたのがこの動画です。500kHz~1500kHzが、144.00MHz~145.00MHzに変換され、AM放送を聞くことができました。

(つづく)

 

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2021年12月30日 (木)

1400円で落札した不動のTS-700で遊ぶ(6)

TS-700の内部へ仮実装してみました。付いているSSBフィルターを取り外して装換です。

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とりあえず、これでAMを聞いてみることにしましたが・・・


 

帯域内リップルが多くてSメーターがふらふらしてしまいNGです。回路とのインピーダンス・マッチングがうまく取れていないせいのようです。 
(つづく)

 

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