カテゴリー「無線機修理/リストア」の319件の記事

末永く大切に・・・

2023年4月30日 (日)

Collins KWM-2A の修理とTwitterでのプチバズリ

M2_01

知り合いのOMさんよりCollins KWM-2Aを修理してくれないかと依頼があり、引き受けました。
1960年代に販売され、26,000台も製造された機種でTRIOやYAESUのSSB機のお手本になったような先駆け的存在な無線機です。

受信も送信もできません・・・

AFからチェックしていきました。VRを上げるとサー音は出るのでIF以降は生きており、それより前に不具合が。
M2_15

リレーに接触不良があることを突き止めました。50年前のリレーなんて当然入手できないので接点洗浄ってことで分解です。IPAを染み込ませた紙で接点を擦ると真っ黒・・・。これで受信はできるようになりました。

でも送信がダメです。

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この機種はCWやTUNE時は1750Hzのトーン発振器を動作させて、いわばマイクの前で口笛を吹いてシングルトーンを出すしくみになっています。1750Hzはスペアナで見ることできないのでオシロも登場させての原因探りとなりました。

M2_03
内部配線はこんな具合…スパゲッティ??  カオス??? 配線を追いかけるのか非常に大変。

この写真をTwitterに上げることで後述する「プチバズリ」が発生します。

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送信できない原因はコレでした。
(写真みても何の部品だかわからないと思う、多分)

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これ、バランスドモジュレーターに使っている4本をワンパッケージに入れたクワッド・ダイオードなんです。当然、こんなものありません。無いので作るしか対策は無しです。

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1S73Aというゲルマニュウムダイオードが多数所持しているのでこれでブリッジを組んでみることに。「ブリッジ」じゃありませんでした、似ているけど向きが異なり、これはリングダイオードですよね。

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ピンボケで見ずらいですが、うまく動作しました。
(キャリアバランス調整は必要)

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米国仕様なのでAC 115Vで動作させるのが通常、それをAC 100Vで動作させているのでこんなもんです。

まだまだ不具合はありますが、ひとまず動作するところまで持ってくることには成功です。

<バズリの原因>

あのカオスな配線をTwitterで見た方。。。

2500以上のいいね、940のRT、30万 PV・・・が付きました。
M2_14

そのコメントは。

M2_11
M2_006

多くのコメントが「なぜ基板を使わないんだ」という意見。
今の技術者はシャーシ+ラグ板でこのような配線を行っていた時代を知らないので「配線において基板は基本であって必然なもの」と考えているようで、この配線が新鮮に映ったんでしょうね。確かにあの配線で20年間に渡り26,000台も製造されたのは不思議ですが、ジェネレーションギャップを感じた次第です。

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2022年1月21日 (金)

1400円で落札した不動のTS-700で遊ぶ(10)

※注:このプロジェクトは最後まで完成(達成?)しない可能性もありますのでマネしようとか考えないほうが良いかもしれません。

Bpf_99


さてLocal発振器のメドが立ったので構想に沿って、あれこれ設計していきます。入力側のBPFです。


Bpf_00

メーカー製のゼネカバ機は、こんなふうに周波数帯別に分割されていて、高級機になるほど、この分割数が多く設計されており帯域外妨害電波の影響を受けないとしています。7MHz出ているときに14MHzで至近距離のローカルさんがQRVすれば抑圧を受けるとか洒落になりませんもんね。

メーカー製回路の設計を真似ようと、BPF設計ソフトを探してみたのですがありません・・・
LTspice などだったら可能なのでしょうけど。

Aade

AADE filter design というフリーソフトで設計はできるのですが、出力される回路が複雑すぎて作る気になりません。お遊びでやっているんで・・・。

とりあえず中波放送帯はLPFでOKなので SVCfilter で設計してみました。

Lpf_2m
急峻な特性が得られるチェビシェフ型で。

いろいろと考えあぐねたところ・・・
Ts700_40
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Ts700_46
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まだちゃんと実装できるか不明なのですが、TS-520のTUNE機構に使っているバリコンを使って6~12MHzをカバーする原始的なマニュアルチューニング案が浮上してきました。

(つづく)

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2022年1月10日 (月)

1400円で落札した不動のTS-700で遊ぶ(9)

Ts700_31
私ではできないと、懸念していたArduinoによるSi5351Aのコントロールスケッチですが、他人様のスケッチをいろいろと参照し、見様見真似であれこれ実施し、Twitterで尋ねたりしているうちに、とりあえずは自力で完成しました。やればできるじゃないのwwTs700_32
3.3V版のArduino pro mini を使いました。Si5351Aが3.3V動作のため、I2Cのレベルシフターが不要でそのまま直結できるためです。USB端子が無いのでスケッチ書き込みはFTDIのシリアル・パラレル変換が必要です。

配線はこんな感じ。
Ts700_33
デジタルpin 2~5のいづれかがHighになるかで発振周波数を変える(TS-700のチャンネルスイッチでバンドチェンジ)ことができるようにとスケッチを作りました。

当初、デジタルpinにPullダウン抵抗が必要だとは知らずに発振させてみたところ、このとおりデタラメ発振してしまいました。HighかLowかがうまく判定できないんですね。

各pinを抵抗でpullダウンすることで、正常な発振をしました。

(つづく)


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2022年1月 5日 (水)

1400円で落札した不動のTS-700で遊ぶ(8)

さて、自作フィルター搭載の目処がたったので、どう料理してHF帯受信機にするか??を考察してみました。

まずはゼネカバ受信機を目指したもの。
Ts700_24
144MHz帯に変換するか、IF(10.7MHz)に変換するかですが、この方法だとゼネカバは実現しますが、TS-700へは固定周波数が出力され外付け受信アダプターみたいなものになってしまいます。選局もそのアダプターに付けたダイヤルツマミで行うことになり、せっかくTS-700についている2重ダイヤルを回す感触が無くなってしまうことになります。

そこで・・・
Ts700_25
ゼネカバ受信機ではありませんが、放送があるHF周波数帯域をTS-700のFIX Ch SWを使ってバンド切り替えみたいな感じに使い、選局はVFOで実施する方法とすることにしました。これだとTS-700の内部に内蔵してしまうことも可能です。

ここからは、自力でArduinoでSi5351Aを動かすスケッチを作ることができないので、ソフトウェアに詳しい方の協力が必要となってきます・・・さて完成するかは???です。

(つづく)

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2022年1月 1日 (土)

1400円で落札した不動のTS-700で遊ぶ(7)

TS-700のIF回路を再検討してみまた。
Filter_01_20220101165301

◯でかこった部分。ここで気になったのは33pFと1mHのLCが入っているところです。

実際の実装はこんな感じであきらかに、問題が発生し後から追加した形跡があります。
Ts700_22

入力側はQ8のエミッタフォロワ、出力側はIFTの2次側リンクコイルに接続されており、いずれも低インピーダンス。これに33pFという小さいCを通すということは、既存のフィルターとのマッチングを考えて追加したものかと・・・。

だったら、ここをパスしてみればどうかと。
Ts700_23
LTspiceなどのシミュレーションソフトで検討してみるのが良さそうですが、とりあえずは私の感と経験で「まずはやってみよう!!」ってことてでテストしてみました。

幸いにも想定が当たったようで、帯域内リップルがS=1以内に収まるようになりました。

SSGから、143.5MHzのローカル発振信号をダイオードDBMに入れて、非同調のなんちゃってコンバータを作って聞いてみたのがこの動画です。500kHz~1500kHzが、144.00MHz~145.00MHzに変換され、AM放送を聞くことができました。

(つづく)

 

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2021年12月30日 (木)

1400円で落札した不動のTS-700で遊ぶ(6)

TS-700の内部へ仮実装してみました。付いているSSBフィルターを取り外して装換です。

Ts700_a1
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とりあえず、これでAMを聞いてみることにしましたが・・・


 

帯域内リップルが多くてSメーターがふらふらしてしまいNGです。回路とのインピーダンス・マッチングがうまく取れていないせいのようです。 
(つづく)

 

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2021年12月29日 (水)

1400円で落札した不動のTS-700で遊ぶ(5)

10.7MHz 帯域6kHzのAMクリスタルフィルターの製作です。
Xtalfil_04
とりあえず50個あるので、fs(直列共振)とfp (並列共振)の各周波数を測定して同一なものを選別しました。
このfsとfpの差の周波数帯域でフィルターが作れるということですので理論的にはBW=14kHzまで作れるということになります。
Xtalfil_01 Xtalfil_02
まずはRFワールド56号の記事通り22pFで作ってみました。ところが、帯域幅4.6kHzと狭すぎでだめです。
Xtalfil_03
18PFのコンデンサを急遽仕入れ、変更してみたところ・・・帯域は5.4kHz付近となり、まだ狭いです。
ずいぶんと使う水晶によって異なるようです。通過帯域にデコボコが出ていますが、これは50Ωで測定しているためで、入出力インピーダンスを合わせれば消えるハズです。
Xtalfil_07
1:9のRFトランスでステップアップするとバンプは消えました。帯域が狭いですが、とりあえずこれでテストしてみることに。

(つづく)

 

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2021年12月28日 (火)

1400円で落札した不動のTS-700で遊ぶ(4)

Ts700_15
調整、完了しました。感度は鬼でSSGからの-143dBmが楽々検出できます。

それで、何を企んでいるのか?? ですが・・・。

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7L4WVU原口さんのこの記事が気になりまして、自作のAMフィルターを作成/実装し、短波受信機として使おうという魂胆です。

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Aliexperssで10.7MHzの水晶、10個97円を50個発注しました。

(つづく)

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2021年12月26日 (日)

1400円で落札した不動のTS-700で遊ぶ(3)

VFO発振停止系の修理を進めていきます。
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TS-700Sは配線が立て込んでいて取り外しが難しいですが、TS-700は簡単に取り出すことができます。
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TS-520/TS820でおなじみの修理、バリコンアース側の接触不良を修正します。
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もういちど開けるのは面倒なので、ここについている2SC460を交換しておきます。やはり足が真っ黒でした。
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元に戻そうとするとメインダイヤル照明用の電球が切れていることに気が付きました。分解する時に、ごそごそと振動を与えたことで切れたようです。電球は寿命があるので仕方ないですね。
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こんな電球は在庫が無いので、カチ割ってLEDを取り付けました。390Ωの抵抗で電流制限。
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うまくいきました。拡散キャップを付けたほうが良さそうで、光量が落ちるので抵抗はもう少し小さ目のほうがいいかも。この高輝度LEDは50mAまで流すことができます。

とりあえず、これで安定したので細部のアライメントに取り掛かります。

(つづく)

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2021年12月25日 (土)

1400円で落札した不動のTS-700で遊ぶ(2)

電源回路を解析したところ、20V側が落ちると9V側もシャットダウン?? らしき処理がしてあるようですが、無視することに。

【変更前】
Ts700_07

【変更後】

Ts700_08

Q12を取り外し、代わりに取り付けました。
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とりあえず、これでザァー音が出て動作するようになりました。
ただし、これで終わりでは無く、VFOを回すと発振停止するところがあり、TS-520/TS-820で何度も修理してきたパリコンのアース側接触不良があって分解手入れ必要です。

(つづく)

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