苦戦したTS-660の修理
頂き物のTS-660、キズも多いしかなりな使用感があってくたびれた個体ですがレストアにトライしてみました。使うことはないので整備しても不動在庫となって放置となる未来は見えているのですが、動かないものを動くようにするという楽しみというか使命感のようなものに突き動かされてしまいました。
【まずはリレーの全数交換】
動作はするものの、感度は悪いしパワーは5W程度しか出ないしということでまずは検索してみるとリレーの不良事例が数多く出てきます。

秋月で安価に入手できる台湾製が使えます。通販で購入し、まずは、7個全部交換してみました。
しかし感度の不安定さはなくなったものの「交換しておしまい、完了良かったね」なんて簡単にはいきません。
【21MHz帯PLLアンロック】
時々、21MHz帯がPLLアンロックしてしまい送受不可となってしまいます。FMモードやAMモードだとアンロックしないのでPLL下位ループに不具合があるのだと...(思い込み)。
PLLは3重ループになっていて最下位は10Hzステップです。
(ここに原因があるのではと目星を付けたのですが、そうではなかった。)
サービスマニュアルに沿って、各種電圧設定や、PLLロック電圧設定をほぼ全ての項目について再調整してみました。どれもこれも、かなり大幅にズレていて既定値にしたのですがダメです。アンロックしないで正常な時と24MHz帯もダメな時もあって難航...
基板上のパーツに問題ないのならと、もう一度よく観察してみると。
・SSB, CW モードがダメでFM, AMはOK
・F ステップスイッチに接触不良があって早送りができない時がある。
この2つを発見したので物理的に攻めてみることにしました。
(腰が重くて大変な作業デス)
どうやら当たっていたようで21MHzのPLLアンロック発生は解消しました。要因を詳しく調べていませんが、Fステップスイッチの接触不良で10Hzなのか100Hzなのかの信号がうまく判断できなかったからと思われます。じゃぁ、なんで50MHzは正常なんや? と言われても良くわかりませんが...完璧にアンロック症状は無くなったのでコレでヨシとすることに。
キタナイツマミ類の洗浄もできたことだし。
【21MHz帯のパワーが少ない】
50MHz帯は15W以上でるのに21MHz帯がいくら完璧に調整しようが7W程度しかでません。それでもかまわないのですが、やはり気になるのが元修理屋のサガ...
ファイナルは21~50MHz共通で 2SC1971 pp ⇒ 2SC1972 pp と144MHz帯用の石を使った、今となっては貴重な、当時としては豪華なPA構成となっています。
PAまでの送信信号の流れを細かく追ってみました。BPFを調整しても10Wに届きません。しかし、BPF付近に手を近づけたりするとふらふら上がったりすることがわかり、これはスイッチングダイオードの不良で、RFにおいて完全にONしきれていないのではという見当を付けました。全部交換する必要は無いのですが、ついでにという感じで8個交換です。ちなみに、交換したダイオード100本100円で購入した適当なシリコンダイオード。
とりあえず、これで10W出るようになりました。ただ、これでもHF帯(21~28MHz)は少々ゲイン不足な感触で、50MHzと同等にしたいならドライブ段の石も、Ftの高い144MHz帯用のものにするのが良さそうです。2SC2053とか。
【多重PLL方式の限界】
この頃の無線機、TS-660やTS-680に代表する初期のPLL機は多重ループ構成になっていて10Hzなどの細かい周波数ステップを得るようになっています。動画は21.180MHz付近にSSGで強力な信号を入れて受信、ダイヤルを回した様子ですが最下位ループは10kHzで切り替わるため、10kHzおきにプチプチとノイズのようなものが聴こえます。原因はPLLのVCOがロックアップするまで彷徨い、信号がある21.180を通ってしまうため出るノイズで故障ではありません。
過去に「一定周期でノイズが出る、故障しているから...」とよく相談ありましたが、これは仕様であってどうすることもできません。
DDSを使ったモデルから出なくなっています。DDSといっても注意して聞けば最下位500kHzがDDSで上位がPLLになっている機種(ICOMなど)は500kHzで切り替わる時にこのノイズがでます。この頃の無線機を使う方、使いたい方、ある程度回路とその無線機のクセを理解してくださいね。
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コメント
その昔TS680でカムバックしました。周期的なプチプチ音の原因はこれだったんですね。とりあえずで買ったのですが次第に不満が募り結局入れ替えてしまいました。
投稿: JA2HVW水島 | 2026年7月 2日 (木) 06時07分
TS-680は局発、BFO、IF-Siftなどを全て一つの水晶から作り出すワンクリスタルなPLLなので回路が非常に複雑です。C/Nを犠牲にし、周波数安定度を重視した設計って感触です。
投稿: JF3DRI | 2026年7月 2日 (木) 13時33分
TS680のC/Nが今一つと聞いて納得しました。何となくスッキリしない音が不満でした。その後借り物のTS940を経てIC7700を導入してとても静かな印象を持ったのを覚えてます。
投稿: JA2HVW水島 | 2026年7月 2日 (木) 17時49分