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2023年4月30日 (日)

Collins KWM-2A の修理とTwitterでのプチバズリ

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知り合いのOMさんよりCollins KWM-2Aを修理してくれないかと依頼があり、引き受けました。
1960年代に販売され、26,000台も製造された機種でTRIOやYAESUのSSB機のお手本になったような先駆け的存在な無線機です。

受信も送信もできません・・・

AFからチェックしていきました。VRを上げるとサー音は出るのでIF以降は生きており、それより前に不具合が。
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リレーに接触不良があることを突き止めました。50年前のリレーなんて当然入手できないので接点洗浄ってことで分解です。IPAを染み込ませた紙で接点を擦ると真っ黒・・・。これで受信はできるようになりました。

でも送信がダメです。

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この機種はCWやTUNE時は1750Hzのトーン発振器を動作させて、いわばマイクの前で口笛を吹いてシングルトーンを出すしくみになっています。1750Hzはスペアナで見ることできないのでオシロも登場させての原因探りとなりました。

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内部配線はこんな具合…スパゲッティ??  カオス??? 配線を追いかけるのか非常に大変。

この写真をTwitterに上げることで後述する「プチバズリ」が発生します。

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送信できない原因はコレでした。
(写真みても何の部品だかわからないと思う、多分)

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これ、バランスドモジュレーターに使っている4本をワンパッケージに入れたクワッド・ダイオードなんです。当然、こんなものありません。無いので作るしか対策は無しです。

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1S73Aというゲルマニュウムダイオードが多数所持しているのでこれでブリッジを組んでみることに。「ブリッジ」じゃありませんでした、似ているけど向きが異なり、これはリングダイオードですよね。

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ピンボケで見ずらいですが、うまく動作しました。
(キャリアバランス調整は必要)

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米国仕様なのでAC 115Vで動作させるのが通常、それをAC 100Vで動作させているのでこんなもんです。

まだまだ不具合はありますが、ひとまず動作するところまで持ってくることには成功です。

<バズリの原因>

あのカオスな配線をTwitterで見た方。。。

2500以上のいいね、940のRT、30万 PV・・・が付きました。
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そのコメントは。

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多くのコメントが「なぜ基板を使わないんだ」という意見。
今の技術者はシャーシ+ラグ板でこのような配線を行っていた時代を知らないので「配線において基板は基本であって必然なもの」と考えているようで、この配線が新鮮に映ったんでしょうね。確かにあの配線で20年間に渡り26,000台も製造されたのは不思議ですが、ジェネレーションギャップを感じた次第です。

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コメント

昔の憧れのコリンズ。これにシルバーイーグルのマイクを握り締めたアメリカ人が悠々と無線を楽しむQSLカードなんかがCQ誌に載っていたのを覚えています。当時、真空管テレビのジャンクがゴミ集積所に一杯出ていて、ゲルマニュウムラジオの部品を探して裏蓋を開け、ラジオペンチを使って、ゲルマニュウムダイオードやチタコン、ピーキングコイルを取り外していました。ラグ板と立体配線は、真空管回路の常套手段と思っていましたが、今は、これがバズるんですか?思いもよりませんね。年をとりました。

投稿: Hiro | 2023年5月 5日 (金) 07時31分

今の機器自作はパソコン画面のCADで回路を書いて動作するかシュミレーターで検証し、OKならプリント配線板のアートワークへ、そして基板作成業者へガーバーデーターを送るといった一連作業になっていて、このプロセスが個人で簡単に安価にできる仕組みなのでシャーシ+ラグ板での配線を知らないんでしょうね。

私ももう年金を貰う年齢になりました。Arduino等のマイコンプログラムはなんとか上っ面のみ理解できるようになりましたが、Kicadから基板発注を行う自作プロセスになかなか一歩踏み出すことができません。

投稿: JF3DRI | 2023年5月 5日 (金) 09時21分

ご無沙汰してます。相変わらずアクティブですね。写真のオシロについて教えて下さい。SIGLENTのように見えますが機能、性能使い心地は如何ですか?西村さんのお目に叶うレベルでしょうか?現用keysightのDSOが立ち上がらなくなり大陸製を検討中です。修理見積もりがあまりにも高額過ぎて困り果ててます。大陸に限らずオススメがあればご意見伺いたく思います。

投稿: JA2HVW水島 | 2023年5月13日 (土) 11時59分

水島さん、こんにちは。

DSOの選択はRIGOL DS1054Z とこのSIGLENT SDS1104X-Eのいづれかでずいぶん悩んだのですが結局、後者を選択しました。

RIGOLのは多数の方が使っていて実績が有り帯域50MHzですがハッキングすることで100MHzにすることもできるようです。

SIGLENTは調べてみるとTeledyne LeCroyの下位モデルのOEM先のようで、この機種はどうやらT3DSO1104と同じ模様です。

Teledyne LeCroyはテクトロと同じく一流メーカーなので、だったら大丈夫かな??ってことで購入しました。

ADWINという代理店からの購入ですが日本語マニュアルもダウンロードで準備されていてフォローも十分なようです。十分に使いこなせておらず、他社比較していないので使い勝手が良いのか悪いのかは判断できません…

私が購入した時は安かったのですが半導体不足で今は価格が倍近くに跳ね上がってしまったのでキビシイかもしれません。

投稿: JF3DRI | 2023年5月13日 (土) 17時27分

西村さん コメント大変参考になります。ありがとうございました。私も調べてRegolとSiglentの二つに辿り着きましたが、アマチュアとは言え測定器は定規みたいなものなので信頼できるものが欲しいですね。悩ましいところです。

投稿: JA2VW水島 | 2023年5月14日 (日) 20時53分

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