IC-775DXⅡ コンデンサ液漏れによるプリント配線板焼損
修理受付は終了して実施していないのですが、ローカル局や知り合いからどうしてもやってくれ!!と懇願されると、やらない訳には参りません、なかば強制みたいな・・・。
初めてお目にかかるIC-775DXⅡ、パワーが出なくなったとのこと。まず、故障場所の特定から。。。
・受信は正常。
・ファイナルのドレイン電流IDが全く流れない。
・別の無線機をちかずけて聞いてみると、微弱な信号はある。つまり、ヤンガーステージは生きている。
これで、PAに不具合があると断定できます。
PA部を取り出して中身を覗いてみると・・・。派手に焼損しています。
焼け焦げて酷い状態。よく見ると、抵抗が焼損してこうなったのではなく、基板自体が炭化しています。
こうなったプロセスを考察してみたところ・・・
①電解コンデンサが液漏れを起こした。
②漏れた電解液(四級塩電解液)の強アルカリ性によって基板の腐食発生。
③ガラエポ基板(FR-4)が導電性を持って、リーク発生。
④リークが進み、発熱と共に基板の炭化/焼損。
⑤チョークコイル部の基板パターンが剥がれ、オープン状態に。
⑥電流は抵抗3.9Ωを通るようになる。
⑦抵抗が焼損。
⑧基板パターンが完全に脱落。
⑨ファイナルに電圧供給されなくなる。
⑩基板の炭化がこれ以上進まなくなって現状態となる。
こんな感じだと思われます。
配線図の抜粋はこちら。
【修復作業の開始】
炭化した基板を削り取り、裏面を超絶空中配線(?)にて結線。
PAユニットのみ、低い電圧で動作させてみたところ、幸いにも入手困難なファイナルFET(MRF140)は生きていました。組み込んで正規動作させたところ、ちゃんと200Wが出てきました。
【7MHz帯の拡張】
7.1MHZ以上は送信されない、過去の状態になっていたので拡張の改造を行います。
これが、老眼には非常に辛い作業。
無事にジャンパ抵抗を取り外すことに成功しました。
コンデンサ液漏れでガラエポ基板が焼損に至ってしまう事例でした。
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