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2017年11月

2017年11月29日 (水)

TS-900Dライン フルレストア・・・その1

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TRIO TS-900D VFO付きのライン、レストア依頼がありお受けしました。
多くの修理箇所かあるので、何回かに分けて記事を書きます。
ざっと見たところ・・・

①7MHzが受信できない。
⇒局発が発振しておらず、水晶を交換する必要がある。

②バントスイッチ接触不良
⇒スイッチを洗浄する必要あり。

③AF音が割れて音質が悪い。
⇒AFアンプのトランジスターまたは電解コンデンサーあたり??

④AFにハム音混入
⇒これは最初から当機種はこのような仕様??
   AFを絞っても少しブーンとハム音がある。

⑤VFO発振停止?
⇒バリコンの接触不良?


⑥CWフィルターの取り付け依頼

送信系はテストしていないので、まだまだ出てくるかもわかりません。


①7MHzが受信できない。

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TS-900は初めての患者さんです。プラグイン基板になっていますが、一つの基板内回路規模が小さいので、基板だけで単体テストが可能なレベルのため、修理はできそうです。

トラッキング機構が冠歯車で90度回転を曲げてバリコンを回す非常に凝った機構になっており、分解はできるのですが、その機構を良く理解していないと元に戻らなくなってしまいます。バントスイッチのシャフト回転位置、ギヤの位置を確認し、分解に臨みました。

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ローカル発振ユニットです。
単体で調べたところ、やはり7MHz帯用の水晶が不良で交換しか方法がありません。


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水晶は15.895MHz これはTS-520と同じ周波数構成となっているため、TS-520のジャンクから移植することにしました。


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取り外し、交換してみました。発振はばっちりOKとなったのですが、水晶の負荷容量/発振回路が異なるせいか、15.892.5MHzで発振してしまいます。いろいろと調べ、なんとか発振周波数を上げることができないかとやってみたのですが、低い方へ持ってくることは簡単なのですが高い方へ持ってくるのは、他のバンドも絡んでいるため、どうしてもできなく、約2.5kHzのズレは目をつぶってもらうこととしました。

ついでに、悪名高き2SC460Bがバッファーとして付いてあり、足が黒ずんでいたので、こちらも交換。


②バンドスイッチの接触不良

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アンテナコイル、ミキサーコイル、ドライブコイルも外れるようになっており、接点洗浄を行うこととしました。


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洗浄前、洗浄後です。流石に、40年以上経つ機種なので接点が酸化しており、メンテナンスは必要なようです。

元に戻す組み立て作業に非常に難しくて時間を費やしましたが、この部分に関しては7MHz周波数のズレを除いて正常となりました。

つづく・・・・

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2017年11月16日 (木)

Transistor testerキット

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Facebookのグループに書き込みが有ったのでAliExpressでAVR-Transistor testerというのを仕入れてみました。

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価格は送料込みで2,000円以下、ケース付きバージョンです。10日少しで届きました。
取説も配線図も何も無く「ネットで調べてね」という大人のキットで多少戸惑いましたが、見つけることができました。

組み立ては数時間ってところでしょうか。欠品も覚悟の上だったのですが、幸いにも大丈夫で一発動作しました。AVRのプログラムはオープンソースになっているようですし、中国製で、いろんなクローンが販売されているようです。

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トランジスター、FET、サイリスター、トライアック、ダイオードの測定の他にいろんな機能が付いています。

液晶はTFTでフォントとバックを好みの色調にすることもできます。

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連続可変はできませんが発振器としても動作しました。

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最初の写真はMOS-FETのBS-170を測定したもの。左の写真は一般的なバイポーラーを測定したものです。

不良であるかの判断と、ピンアサインを自動的に判断してくれるのでなかなかのスグレモノです。

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2017年11月15日 (水)

R-599S / T-599S メンテナンス

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TRIO R-599S / T-599S 599ラインの修理、メンテナンス依頼です。この機種は初めてですが、デザインが良いと熱心なファンが多いようですね。
TS-520より古くからあるので40年は経つでしょうか。

・オーナーさんは、別OMさんより譲っていただいたもの。
・T-599Sは送信すると、IPメーターが振り切る。
・R-599Sは受信するが総合的なチェックと動作確認。


とのことです。

<R-599S>

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まずは目視でチェック。VFOランプが切れていましたのでLED化しました。


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マーカー発振周波数が結構ズレていたので再調整。


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50MHz / 144MHzを28MHzに落とすクリコンが入っていて受信可能です。この部分も動作確認致しました。

その他、スイッチの接触不良が多数あり、洗浄および接点復活剤で対応致しました。各バンド毎のトラッキングも診ましたが大きなズレは無く、品位が高い個体でした。

AMフィルター、CWフィルターも内蔵されおり、特に41m帯のコマーシャル局のBCLは音質も良くトリオの機種としては珍しい感じです。

<T-599S>

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まず、目視でチェック。IPが振り切れるのはファイナルカソードに入っている検出抵抗が怪しいのは、これまでの経験から診ると・・・交換した形跡があり、そのハンダ付けがダメ、いわゆる「天ぷらハンダ」状態でした。

ハンダ付けのやり直したところ、振り切れは無くなりパワーは出ることを確認。

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高圧電源回路の電解コンデンサーに抱かせてある470kΩが600kΩ以上になっていたため、交換。


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とりあえずパワーは出るのですが、VFOを回すと不安定なところがあることを発見。バリコンローターのアース側接触不良でTS-520/820で多発する症状と同じです。全分解は大変であり、他の不具合を産む可能性があるので、隙間から綿棒、ピンセットを使って洗浄、接点復活材塗布を実施しました。いわば「腹腔鏡手術」です。

送信側のVFOはあまり使わないので、回すことが少なく、このようになる確率が多くなっているのではと思慮致します。

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送受繰り返しテスト(少なくとも100回は実施します)をやっていると、20回に1回程度、送信しないことがありました。こういうのは原因特定がすごく難しいのですが、回路を確認し、リレー接点が接触不良を起こしていることがようやくわかりました。

リレーは交換品が無いので、接点洗浄で対応。問題は無くなりました。

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最後にR-599/T-599を専用ケーブルにて接続、トランシープ操作ができるかをやってみたところ、受信が全くダメ。おかしいなぁ~、リレーは洗浄したし・・・・。

ながいこと悩んで調べたところ、なんのことは無い送信機から受信機に渡る同軸ケーブルのMコネクター内部でハンダ付け不良となっており、やり直すことでようやく完了となりました。

やはり40年以上経つ無線機はいろいろと不具合が出るようです。

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