IC-970とIC-820D修理
ICOM IC-970と後記するIC-820Dの修理依頼があり、お預かりしました。
<IC-970>
PLLはDDSと組み合わせた2重ループになっており、その下位ループがアンロックしていました。トリマーを回せば、一瞬ロックするのですがすぐにまたアンロック。不安定です。
トリマーを交換することで安定しました。ただ、サービスマニュアルにはVCOロック電圧1.0Vにと記載されてあるのですが、1.0Vだと、どうしても安定せず、2.8V程度に合わせることで安定したロックが得られました。可変範囲が狭いので問題ないハズですし、エージングでも大丈夫でした。
全体のテスト実施すると、144/430MHzともにパワーが6W程度しか出ず、感度も少し落ちているので、調整のやり直しを実施することにしました。
筐体がIC-760等と同じで大きく、お預かりした個体は1200MHz/2400MHzユニットおよび電源が実装されていないので、スッカスカです。中吊りシャーシを外すと144/430のRFユニットとメイン基板が出てくるのでメンテナンス性は良好です。
ただし、2系統受信であり、送信においてはFMとSSBで異なった調整法となっているので、調整は、かなりめんどうでした。また、サービスマニュアルにはパワー調整する箇所が2つあり、POメーターの振れとも兼ねているため、最終的には配線図を理解しなければならなく、思った以上に時間がかかりました。
リファレンスも430MHzで1kHz近くズレており、全てやり直してようやく完了となりました。
<IC-820D>
・オーナー様が液晶を交換されたが動作しなくなった。
・メインダイヤルを回しても周波数が変わらない。
・430MHz側が送信できず。
とのことです。
当方で調べたところ、音もでません。また、バックライトのランプが切れており表示が全く見えません。
ライトを当ててチェックしたところ、表示はされているようです。
分解していくとメインダイヤル、ロータリーエンコーダーからのコネクターが差し込まれていませんでした。
これを差し込むことで、周波数のUP/DWNはOKに。
音が出ないのは、このフラットケーブルコネクターがちゃんと接続されていなかったことが原因でした。
ここまでくると修理できそうなので前へ進むことに。
(オーナー様が弄られた場合は基本的にはお受け致しませんのでご注意を。)
バックライト切れに対して、意味不明な配線が・・・。
4つの電球をLED化しました。そのテスト風景です。
430MHz側が送信不能な症状を探ります。ドライパー段パワーモジュールに送信時来るべき+9Vが来ていません。
これは過去実施したものと同じだと判断。
チップデジトラ入手困難なため、細工します。
拡大鏡を使って、チップデジトラ跡から引き出し。これは細かい作業なのでテクニックが必要です。
(ロウガンなので、当方これが限界ですね)
反対側に回し、絶縁しスキマに固定しておきます。これで、430MHzは正常となりました。
受信系、送信系の調整ズレはあまり無かったのですが、リファレンスがズレていたため、再調整、エージングして完了としました。
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