« FT-221 修理、複雑な回路だった | トップページ | FT-301SとIC-371、整備と修理 »

2017年4月16日 (日)

FT-102 いつもの故障では無かった

102_00

FT-102 何台も修理しているので、楽勝だと考えていたのですが思いの外手こずりました。故障依頼内容は下記の通り。

 ① 各バンドメインダイヤル回し低い周波数側で発振停止する。
 ② 感度が悪い。
 ③ 周波数ズレがある。


まずは①から。

確かに、どのバンドも低い側で発振停止し、デジタル表示が消えて受信も送信もできなくなってしまいます。まず、疑ったのはVFOそのものがバリコンの接触不良が起こって、停止するのではないかと・・・。

VFOの出力を取り出して単独で診ると、5.5~5.0MHz正常発振しており問題ありません。では何か??? 特定のバンドだけなら、当機種はPLLを使っているのでそのバンドのVCOアンロックが考えられますが、全バンドがアンロック???  はて???

102_01

周波数構成図を見ると、丸で囲ったBPFが怪しいとメボシを付けました。ここがズレると全バンドアンロックする可能性は大きいです。


102_02a

大当たりです。スペアナで診ると、低い周波数側で大きく信号レベルが下がって、BPFの特性がズレてました。平坦になるよう、再調整することで、正常にロックするようになりました。


②感度が悪い。
102_01a これまで何台も交換してきたリレーをまずは疑ったのですが、既に交換されており調べたところ接触不良は無く、問題ありません。このRFユニット以降に問題がありそうです。

102_03

RFユニット以降はIFユニットです。まずは、IFT関係をざっと再調整してみました。少しは良くなりましたが、まだ感度は十分に上がりません。

そうこうしているうちに搭載してあるCW ナローフィルターを通すと、ガンと感度が上がることに気が付きました。


102_02

ナローフィルターを入れた信号通過経路は青色、通常は赤です。となると、矢印で示したスイッチングダイオード(ショットキーバリアダイオードが使われている)が怪しいと考えらます。1SS97はもう入手困難ですが、販売店を見つけ、手配/交換してみましたが、大きな変化無し。

102_04

うーん、これは何だろう??? もう一度原点に帰ってIFTの調整をやってみたところ、コアが中に入りきってもピークが得られないものを発見。このIFTが不良となっていると判断しました。


さて、どうしようか? 前回やった苦肉の策が、ここでまた活きてきました。上記の配線図にあるATTをパスしてゲインを稼ぐことです。そもそも、ここにATTが入っていることが理解できません。強いていえばナローフィルターを通す時のロスを補正することでしょうかねぇ。

ATTをCでパスすることでIFゲインが上がり、十分な感度が得られるようになりました。

102_05

Fズレはリファレンス調整にて、その他WARCバンド開放されていなかったので開放処理、各箇所の再調整と動作確認、スイッチ類の洗浄、ガリオーム対応を実施し完了としました。

|

« FT-221 修理、複雑な回路だった | トップページ | FT-301SとIC-371、整備と修理 »

無線機修理/リストア」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: FT-102 いつもの故障では無かった:

« FT-221 修理、複雑な回路だった | トップページ | FT-301SとIC-371、整備と修理 »