TS-120S, TS-120V 修理
先に修理したオーナー様からのもので、TS-120S はCWの送受オフセットが1500Hzぐらいとなって交信できない、もう一台も TS-120V はハイバンドでALCが振り切れてしまうとの事でお預かりしました。
<TS-120S>
前回の修理で見逃していたようです。
CWの受信では800Hz程度の音が出たので、これで問題無いと判断していたのですが、実際は送信と受信が1500Hzのオフセットとなってしまってました。
サービスマニュアルに従ってキャリアポイントをきっちりと合わせてもダメです。キャリアは800Hzオフセットしているのになぜ1500Hzとなるのか????
イチから回路を追って、また各部のCWでの送信・受信でのオフセットがどこで発生しているのかを入念に調べたところようやく、突き止めました。VFOの発振周波数自体をズラせていたのです。
原因が分かったのですが、その調整方法がサービスマニュアルには全く書かれていません。 おっかしいなぁ~~
困った時はググる先生にお尋ね。ようやく、海外のサイトでそれらしき記事があり解決しました。 (調整箇所はとりあえず極秘事項としておきます)
という訳で、こちらは解決しました。
<TS-120V>
14/21/28MHzでPTTを押すとALCが振り切れます。USB/LSBでも同じ。そしてパワー計が振れるのです。うーん、これはおかしい症状だと、スペアナでその出力が何であるのか調べると、なんとどのバンドであろうが27MHz帯で10Wドカーンと出ていました。
要するに、異常発振してしまってるっとことです。
ファイナル部やら色々と調べたところ、バンドスイッチのウェハーに手を近づけるとふらふらと発振周波数やら出力が変化します。ハンダクラックでも発生しているのかと叩いたり押したりしているうちに、バンドスイッチ自体を触るととまったり、また発振したりすることを突き止めました。
なんと!! バンドスイッチの接触不良で発振を起こしていたのです。これは初めての症状、こんなことあるのですね。
接点洗浄を行うことで、発振は収まり正常となりました。
Sメーターランプが切れていたのでオーナー様の意向でLED化。その他、キャリアポイント、リファレンス周波数など一通りの調整を実施、24時間のエージングも実施し問題ないことを確認して完了としました。
| 固定リンク
「無線機修理/リストア」カテゴリの記事
- FL-7000 10年ぶりの再修理、メーターランプLED化(2024.10.20)
- 自作に適したファイナル DRI方式 SOT89 ⇒ TO220 変換(2024.04.18)
- FT-1000MP MARKⅤ バックライトLED化(2024.02.22)
- IC-2500 1200MHz PLLアンロック(2023.11.12)
- Collins KWM-2A の修理とTwitterでのプチバズリ(2023.04.30)
コメント
これまた貴重な情報の公開、ありがとうございます。実は以前所有してたTS130も、バンドによって送信時に変な発振が見られたんですが、面倒なのでそのまま処分してしまいました。なるほどバンドスイッチでしたか、次の機会があれば見てみます。
いつもながら、作業と共に記事のとりまとめ、お疲れさまでした。
投稿: JI3KDH | 2017年1月27日 (金) 07時46分
バンドスイッチの接触不良で発振するメカニズムの究明まではやっていませんが、微弱信号な部分であるのは間違いなさそうです。
本来はシールドを被せて他との干渉や結合を避けるように設計するべきだったのかもわかりません。
無線機が故障して知らないうちに電波法違反しているってことがあるので恐ろしい症状ですね。
投稿: JF3DRI | 2017年1月27日 (金) 09時16分