FT-102 多機能不全

しばらく更新に間があいてしまい、申し訳ありません。
修理不能機だったり、そして今回のが思いのほか時間を費やしてしまったのが原因です・・・と言い訳。

FT-102 の修理依頼があり、お預かりしました。受信ができなく、またヒータースイッチを入れるだけでヒューズが飛ぶとのことです。これまで何台も修理しているので、簡単に終わると考えていたのだけど、ところがどっこい2週間を費やすこととなってしまいました。

<目視検査 24V系電源NG>

裏蓋を開けたところ、焼けたニオイがするのでイヌになって臭覚と視覚で入念に調査。基板が焼け、コンデンサが飛び出しているのを発見しました。ここは受信系の24V電源と、送信時カットオフする役割を担っている部分です。

ダイオード、トランジスターはショート、電解コンデンサはオープン状態でした。ACが受信系に流れたので、これはヤバイかもと、この系統を全て調べましたが大丈夫でした。

同等品に交換することで受信部は働くことを確認。10時間程度エージングしてみましたが、異常な発熱はなく再発することもありませんでした。

<リレー交換>

受信がやはり不安定。これは、この機種の持病みたいなもんですね。シャフト下は接点洗浄、その他は同等品に交換することで完治しました。
※過去記事に何度も書いてます。

<バンドスイッチ接点洗浄、VRガリ対応>

バンドスイッチ接触不良があり洗浄。真っ黒い汚れがありました。

<ヒューズが飛ぶ>

過去の前例からファイナルのバイアス電圧が上がってしまっているのでは?? とテスターで調べたところ問題ありません。ということで、ヒータースイッチを入れてみたところ、30分ほどするとヒューズが飛びました。飛んだ後、新しいヒューズを入れヒータースイッチを切ったままバイアス電圧を測定すると-30V程度しかありません。
やはり、マイラーコンデンサの絶縁不良でした。

<これで完了ではなかった>

TUNEモードで、180W　(も)出るし、これで完了。というこで最終チェックとしてマイクを繋いでSSBで喋ってみると20W程度しか出ません。ALCも振れません・・・・。

ここから4日間悩むことに・・・。

SSB送信系信号の流れをイチから全てチェックしていったところ、455kHzのセラミックフィルターの通過損失が10dB以上あり、ここで信号が弱くなっていることをようやく突き止めました。代替品の入手は困難です。さて、どうしようか? せっかくここまでやったのになんとかならないか????

穴が空くほど眺めた配線図 8MHzのX'tal Filter通過後にATTが入っていることに目を付けました。

「このATTをパスすればレベルが上がる!!」

Cでパスしたところ、まだレベル不足ですが100Wは出るのでなんとか使えるレベルだと判断しました。

<その他>

28MHzパワーダウンするようになっていたのでSg電圧切替リレーを動作しなくするために茶色の線をカット。
また、WARCバンド送信開放も実施し、完璧ではありませんが完了としました。

はっきり言って　「もう、疲れたよパトラッシュ。」
これだけ時間がかかったからと、お代金を多く請求することもできず・・・。