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2016年9月

2016年9月25日 (日)

IC-275多機能不全、IC-1275修理不能

275_00

IC-275IC-1275 をお預かりしました。
前者の方ですが、当方で症状を確認したところ・・・。

①AC電源入らず、ヒューズが飛んでいる。
②DCでは電源入るが、電源ON即送信状態になる。
③照明ランプ切れ

を確認しました。

①ヒューズが飛ぶ

275_01

ICOMの内蔵電源が故障することはよくあります。当方が愛用しているIC-760PROも故障しました。右上にあるスイッチングTRのコレクター・エミッター間をそのままテスターで診るとショートしていおり、不良であることはすぐにわかりました。(この事例も非常に多い)

275_03

275_02

スパーク痕があります。しかしよく見ると、トランジスター内部からではなく外部からであることが理解できます。IC-760PROの時もこんな感じ、破壊するプロセスを考えたところ・・・。

①経年劣化で絶縁シートか絶縁不良を起こし、リークが発生する。
⇒ここはACラインを倍電圧整流した280V、それもスイッチングした
 RFと高圧が印加されているため、誘電損による可能性あり。
②リークが大きくなりなりやがてスパーク、炭化してトランジスターを破壊。
③ヒューズが飛び電源が入らなくなる。


銅板を片方のみに挟み込んであり、また片方は絶縁シートが2重になっていることを考えても納得できます。しかし、この絶縁シートの材質が良くなく長年においてリークを起こすようになる・・・というのが私の解析です。
(当電源はICOMが設計したものであってOEM品を使っていない)

トランジスターを同等品に交換、絶縁シートも炭化した部分を削り、更にもう片方も2重にして対応しておきました。これで電源はOKです。

②即、送信状態になってしまう。

275_05回路を追って非常に悩み、時間がかかったのですが、矢印で示すトランジスターのコレクター・エミッターショートになっていることを発見。このトランジスターを交換することで治りました。
このトランジスターは背面にあるACCコネクターからの送受信切替に用いてあるものであり、ACCから妙な電圧が印加された可能性があります。

③照明ランプ切れ

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ひとつだけ電球が切れていたのですが、LED化することにししました。シールドしてあり、ここを外すのは結構やっかいです。


④その他

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チェックしていたところ、電源OFFすると145.000に戻ってしまうため、メモリーバックアップ電池交換必要と踏んだのですが、なんと!! 半田付けされていない製造時不良 でした。品質検査時は接触していたのでパスしてしまったのでしょう。
「高品質がテーマです Count on us!」
ってどこのコーポレートスローガンだったっけ?


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鎮魂、今回交換した部品たち。

その他、リファレンス、キャリアポイント、清掃などを実施し完了としました。


⑤IC-1275の修理

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誠に不本意ながらサービスマニュアルが全く入手できず、手探りでいろいろとやったのですが、どうしても修理することができません。PLLアンロックなのは確かですが、トリマー不良でもなく回路が分からなければ判断できない状態で断念せざるをえませんでした。

こちらも電源ユニット不良でヒューズが飛びます
貴重な1200MHzオールモード機なので残念。

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2016年9月12日 (月)

FT-1000 意味不明な改造

1000b

FT-1000、以前に同一機種を修理したオーナー様からの依頼。再修理ではありません。SSBでパワーが出ないとのことで、到着後、当方で調べると・・・。

・マイクゲインVRが全く効かない。左に回しきった位置でも変調は乗る。
・USBモードにすると送信がAM電波が出てくる。
・DRIVE VRでSSBの出力が変化する
 (このVRはAM, CWのみ働くのが正常)
・受信系は正常


おっかしいなぁ、こんなことありえないハズなんだがなぁ・・・
ということで中を見ると・・・写真の通り、内部配線をぶった切ってあったり、追加で部品を付けてあったり、基板の部品も弄ってあったり、酷いことになってました。

オーナ様に状況を伺うと下記のストーリー。

①オーナー様が所持していたFT-1000が壊れた。

②オーナー様は代替機として
「ハム交換室」で当リグを見つけて入手。

③①の壊れたFT-1000を当方へ修理依頼

④当方が修理完了して返却

⑤当リグは、CWでパワーが出るのを確認しただけで押入れで保管

⑥オーナー様のローカル局が200Wで開局するので、当リグを引張り出してテスト
 するとSSBでまとに出力しない。

⑦当方へ修理依頼。

オーナー様はデタラメな改造を施したFT-1000をハム交換室で掴まされたということです。過去のことなので、入手先の方との連絡も取れないと・・・。何か意図があって改造したのだが、訳がわからなくなってハム交換室で正常動作機として放出したのでしょう、悪質です。

さすがに、これだけ訳がわからない改造をしてあると当方も元に戻す自信が無かったので、お断りしようかとしたのですが、オーナー様から復活させるべく強い要望が有ったので、取り組んでみることにしました。

1000e

細かい膨大なジャングルのような配線図を眺めながら必死して回路を追いました。最初の写真以外にもあちこち改造した跡が・・・。

1000d

もう、どこを修正したか忘れました。調整もぐちゃぐちゃに弄ってあり、再調整もかなりの時間を費やしました。

けれど、なんとか元に戻りました。

オークション、ハム交換室で中古を入手した場合、ちゃんと機能するか説明通りかを到着したらすぐにチェックしてください。改造した機種は、メーカーサービス受付期間内であっても、修理してくれず、つっぱねられますので

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