IC-275多機能不全、IC-1275修理不能
IC-275 と IC-1275 をお預かりしました。
前者の方ですが、当方で症状を確認したところ・・・。
①AC電源入らず、ヒューズが飛んでいる。
②DCでは電源入るが、電源ON即送信状態になる。
③照明ランプ切れ
を確認しました。
①ヒューズが飛ぶ
ICOMの内蔵電源が故障することはよくあります。当方が愛用しているIC-760PROも故障しました。右上にあるスイッチングTRのコレクター・エミッター間をそのままテスターで診るとショートしていおり、不良であることはすぐにわかりました。(この事例も非常に多い) スパーク痕があります。しかしよく見ると、トランジスター内部からではなく外部からであることが理解できます。IC-760PROの時もこんな感じ、破壊するプロセスを考えたところ・・・。 ②即、送信状態になってしまう。 回路を追って非常に悩み、時間がかかったのですが、矢印で示すトランジスターのコレクター・エミッターショートになっていることを発見。このトランジスターを交換することで治りました。 ③照明ランプ切れ ひとつだけ電球が切れていたのですが、LED化することにししました。シールドしてあり、ここを外すのは結構やっかいです。 チェックしていたところ、電源OFFすると145.000に戻ってしまうため、メモリーバックアップ電池交換必要と踏んだのですが、なんと!! 半田付けされていない製造時不良 でした。品質検査時は接触していたのでパスしてしまったのでしょう。 鎮魂、今回交換した部品たち。 その他、リファレンス、キャリアポイント、清掃などを実施し完了としました。 ⑤IC-1275の修理 誠に不本意ながらサービスマニュアルが全く入手できず、手探りでいろいろとやったのですが、どうしても修理することができません。PLLアンロックなのは確かですが、トリマー不良でもなく回路が分からなければ判断できない状態で断念せざるをえませんでした。 こちらも電源ユニット不良でヒューズが飛びます。
①経年劣化で絶縁シートか絶縁不良を起こし、リークが発生する。
⇒ここはACラインを倍電圧整流した280V、それもスイッチングした
RFと高圧が印加されているため、誘電損による可能性あり。
②リークが大きくなりなりやがてスパーク、炭化してトランジスターを破壊。
③ヒューズが飛び電源が入らなくなる。
銅板を片方のみに挟み込んであり、また片方は絶縁シートが2重になっていることを考えても納得できます。しかし、この絶縁シートの材質が良くなく長年においてリークを起こすようになる・・・というのが私の解析です。
(当電源はICOMが設計したものであってOEM品を使っていない)
トランジスターを同等品に交換、絶縁シートも炭化した部分を削り、更にもう片方も2重にして対応しておきました。これで電源はOKです。
このトランジスターは背面にあるACCコネクターからの送受信切替に用いてあるものであり、ACCから妙な電圧が印加された可能性があります。
④その他
「高品質がテーマです Count on us!」
ってどこのコーポレートスローガンだったっけ?
貴重な1200MHzオールモード機なので残念。
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コメント
ご存じかも知れませんが、IC1271Eの回路図付きservice manualは英文ですが下記で入手できます。
http://ve2nrg.com/main/page_products_icom_radio_manuals.html
このコメントは非公開でお願い致します。
投稿: maki | 2016年9月25日 (日) 19時44分
ご指示のWeb、service manualはグレーアウトしてダウンロード不可です。mods.dkにありませんので、サービスマニュアルは公表されていないハズですが・・・。
英文User ManualはICOM USAからもダウンロードできますが、書いてある内容はブロック図、調整ポイントのみで、どのポイントを何ボルトにするとか最大レベルにせよとか具体的なADJUSTMENT PROCEDURESがわからないから手を出せないのです。
※当ブログのコメント欄は非公表にすることができませんのでご了解願います。
投稿: JF3DRI | 2016年9月25日 (日) 21時17分
私のIC1275は元気なのですが
暖まると受信しなくなります。
575/275/375のサービスマニュアルはあるのですが
1275だけはどうしてもダメでした・・・
そこでつまずきますよね・・・
投稿: JH8XVH | 2016年9月25日 (日) 23時23分
調整要綱が無くても回路図が有れば機能回復はできるでしょう。調整要綱は機能回復したら作ればいい。
投稿: tom | 2016年9月26日 (月) 08時25分
ではtomさんに修理お願いするよう、オーナー様に依頼しておきます。ちなみに配線図も見つかりません。貴方の言い方だったら「基板パターンを見て配線図も自分で起こせばいい」と書かれてしまいそうですね。
投稿: JF3DRI | 2016年9月26日 (月) 17時47分
書きましたように1275ではなく1271です。
投稿: maki | 2016年9月26日 (月) 18時12分
1271はPLL機、1275はDDS機、回路は全く別物で参考にならないです。
投稿: JF3DRI | 2016年9月26日 (月) 18時18分
本題のIC-275ではなく、修理できなかったIC-1275にコメントが集中しているようで、何か当方の技術不足や瑕疵があるかのごとく受け止められます。実際、技術力不足があるところは否めませんが。
今後、修理できなかった機種に関してはオーナー様にのみ詳細を伝えるようにし、公開しない方針と致します。
また、当ブログ全体を閉鎖しコンテンツを全て削除することも考えておりますのでご了解願います。
投稿: JF3DRI | 2016年9月26日 (月) 18時25分
西村様
これ程高い技術レベルのブログは他に例を見ません。私同様多くの方が刺激や恩恵を受け、言葉に表せないほど感謝されていると確信します。どうぞこれからも技術発信を続けていただきたく思います。
投稿: 水島 | 2016年9月26日 (月) 22時28分
水島さん、書き込みありがとうございます。
とりあえずコメントは承認制としました。便所の落書きにならぬよう、解決策を具体的に書かない上から目線の口ばかりのものとか、技術根拠に乏しいナンセンスなものとかは無視するようにします。
当然ですが技術的に間違っていることは指摘してください、間違っているなら素直に認めますし、そうでなく当方に確信がある場合、徹底的に応戦します。
さらに、理解していただきたいのは、読むのは30秒かもしれませんが記事を書く当って写真を撮ったり、配線図をトリミングして矢印入れたり、文章を考えタグを使って配置をよくしたりと、どれだけ時間を費やしているかをほんの少し想像して欲しいということもあります。
投稿: JF3DRI | 2016年9月27日 (火) 10時26分
お手伝いできる事は何もないのですが、ここは私のお気に入りサイトです。記事にする以前に回路図を読む作業からして大変な労力である事は普通の方には理解できない事だと思います。心あるアマチュアの技術向上のためにも益々の発展をお祈りします。機会があればいつかアイボールでお会いしたいものです。公開の必要はありませんので読後削除願います。水島
投稿: JA2HVW水島 | 2016年9月27日 (火) 20時52分
IC-1275の修理をお願いしたものです。まずは275の修理ありがとうございました。本当に感謝しております。
1275ですが、メーカーでも修理の受付を終了しているのでどうしようもありませんでした。ほかでもお願いしたことがあるのですが、駄目でした。お手数をおかけして申し訳ございませんでした。これからもお世話になることがあるかもしれませんがよろしくお願いいたします。
また、ほかの各局のためにもこれからも頑張ってください。
本当にありがとうがございました。
投稿: 長井 | 2016年9月30日 (金) 16時10分
tomって野郎がくそなんだな
コメント欄読み違えたJH8の人すまん
ふざけるなよ
投稿: 老害排除 | 2016年10月 2日 (日) 19時55分
皆さん1275は苦労されてますね
私も75シリーズは各3セット所有してますが1275の1台だけがドライブ出力があるにも関わらずパワーモジュール交換してもミドルパワーしかでず挫折しました。
回路図だけでは解らない部分が多々ありますね
投稿: kazu260 | 2016年10月 5日 (水) 15時42分
初めまして、当方もic-1275を持っています、現在受信感度が低下して困っています。尚ブロックダイヤグラムと配線図は持っています。必要であればコピーして差し上げます。
投稿: 東 則幸 | 2016年10月26日 (水) 00時28分