FT-620B レストア
YAESU FT-620B これも結構古い機種ですね。当局の開局時代に遡ります。
ダイヤル表示が合わない、全体的な再調整をして欲しいとのことでお預かりしました。
周波数のドラム表示がズレて、全く読めません。
ドラム表示の固定イモネジを回し、読み取れる範囲にしても帯域が大きくズレていてダメです。VFOのトラッキング用トリマーを回しながら、直線性の良いところに合わせこみます。これ、結構テクニックが必要な「メカニック作業」です。
プリミックスの水晶発振器も周波数がズレてました。しかし、水晶自体の特性が変化して64.5MHzちょうどにトリマーで合わせこむことができず、どうしても4kHzズレてしまいます。そこで、VFO側でこの4kHzを吸収してしまう戦法に切り替えました。(VFO は5.0~5.5MHz、これを4kHzずらせるってことです。)
バンド別のプリミックス水晶を全て4KHzずらせることで解決です。アナログダイヤルなので、完全な直線性を得ることは難しく、正確な周波数を読みたいんだったら、この機種はマーカーが必須なようです。
オーナー様から切れていなくとも照明用電球の交換またはLED化要望が有ったのですが、LED化は見送り電球を交換しました。この電球と同じ広い範囲を照らすにLED化はちょっと難しいです。また、S-9-1というタイプの電球なので現在でも入手は容易です。
裏面の足がグラグラ状態で、これもできればなんとかして欲しいとの要望がありました。しかし、これを完全に修正するには、板金と塗装が必要であり、当方はそこまでの技量が無いので、ネジバカになったΦ4mmビスをΦ3mmの長いのに交換して、ナット止めすることで対応しました。
最終調整を実施していたら、AMが1Wぐらいしか出ません。いろいろと調べたところ、AM変調を行っている石(2SC372)のゲインが落ちるとこのようになるとの情報があり、もう少しゲインがある2SC1906に交換すると共にベースカップリングコンデンサを少し大きな容量にするため、追加することでキャリアレベル6W以上出るようになりました。
YAESUお得意の、配線図と実際が異なるというのがあちこちにあり、結構たいへんでした。交換したパイロットランプも、ムギ球を使っているものもあるようです。他、全体の感度確認、筐体/パネルの洗浄を実施し完了としました。
| 固定リンク
「無線機修理/リストア」カテゴリの記事
- FL-7000 10年ぶりの再修理、メーターランプLED化(2024.10.20)
- 自作に適したファイナル DRI方式 SOT89 ⇒ TO220 変換(2024.04.18)
- FT-1000MP MARKⅤ バックライトLED化(2024.02.22)
- IC-2500 1200MHz PLLアンロック(2023.11.12)
- Collins KWM-2A の修理とTwitterでのプチバズリ(2023.04.30)
コメント