
ローカルさんから譲り受けたTS-820Sを整備してほしいとの事でお預かりしました。
何回もやっているので簡単にできると思ったのですが思いの外難航。

まずは清掃。全面パネルのツマミ類は、前オーナー様がクリーニングしたようできれいですが、中身はやはり相当なホコリが溜まっていました。
<受信系>
VFOを回すとお決まりの
発振停止。分解して、バリコンのアース接触板をクリーニング、バネ圧の強化を図ります。
VFO発振停止は治り、受信するようになりましたが
Sメータがほんの少ししか振りません。調整用半固定抵抗は、接点復活剤をかけて修復した跡がありますが、完全に不良となっており、
交換することにしました。500kΩと10kΩ、調整してSメータはOKとなりました。
<送信系>
TUNEモードでもIPが過大に流れ、ファイナル真空管が妙な挙動をします。
Cgバイアスの電圧を測定してみたらゼロ。
これはダメです。
調べたところ、これもTS-820お決まりの
基板コネクター接触不良。既に、メーカー修理でか、直接ハンダ付けした線もありました。
(青い線)。ピンを曲げて接触を得るように修復。
バイアス電圧を正常にしたところ、こんどは
IPが流れにくいです。写真の通り、バイアス電圧がゼロになったことで
過大な電流が流れ、真空管が不良になったものと考えられます。負荷がかかって管面内部が黒くなっているのがおわかりかと。

手持ちの6146Bに差し替えてみると、パワーが出るもののやけにIPが流れてしまいます。これは、また先のTS-830と同じようにソリッド抵抗が不良かとおもいきや、そうではありません。
なんと部品配置が誤っていたのです。
出荷当初からなのか、前オーナー様が触られたのかは不明。配線図通り正しくやり直ししてOKとなりました。
まだあります。
TUNE, CW, FSKでのドライブが非常にかかりにくい状態が残っています。CARツマミをめいっぱい上げてやっとALCが少し振るといった具合。
キャリアユニットの
2SC460交換と、
IFT再調整でドライブがかかるようになりました。
という訳で、多臓器不全となっていたTS-820Sをなんとか蘇られることができました。
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