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2015年11月

2015年11月28日 (土)

TS-830 2台 整備

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久しぶりの真空管ファイナル機、TS-830V(100W改)とTS-830S、同一オーナー様からの依頼です。TS-830V(100W改)は、WARCバンドの開放に間違ったことを実施し、Sメーターが振れなくなったというもの。まず、こちらから。

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オーナー様も理解しておられたようで、間違って青い線を切ってしまったとのこと。このラインはSメーターのラインでまさにそうでした。
コネクタハウジングからピンを取り出してハンダ付けにて対応。Sメータは振るようになりました。

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汚れがあったので、例のごとく洗浄。

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ファイナルボックスも清掃。こちらは、そんなにホコリが溜まっていませんでした。

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パワーは出るのですが、IPが振りきれる勢い、アイドリング電流は120mAを示している・・・。これは電流計の指示が狂っているとスグに判断できた。ファイナルのカソード-アース間に入っている抵抗で検出しているのですが、5Ω(20Ωx4パラ)の抵抗値が大きくなってしまってます。ソリッド抵抗を外して測定してみると・・・倍以上に。これでは電流計が振り切ってしまいます。金属皮膜抵抗に交換で対応。

その他、ボリュームのガリ、接点接触不良を対策することで、品位の良いTS-830に復活できました。

<TS-830S>

830_10もう1台の TS-830S こちらは、パワーは出るが本体のメーターが全く振れないとのこと。また、バンドスイッチの接触不良もあり整備して欲しいとのことです。

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こちらの方は前者と比較して汚れや、ホコリが酷くファイナルボックス内は、相当なホコリが溜まっていました。特に、冷却ファンのところはすごいことに。ツマミ類、パネル洗浄と共に大掃除となりました

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バンドスイッチの接触不良が酷く、IPAで洗浄しているところ。真っ黒になって汚れがこびり付いてます。

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こちらもIP検出抵抗を測定してみると20Ωであるところが24.4Ωに増大して、これでは正確に測れないので交換しました。ソリッド抵抗はダメですね。

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調整中、急にIPが流れなくなりパワーが出なくなってしまいました。いろいろ調べたところ、ドライバー管の12BY7Aが力尽きたようで、交換すると元通りに。
12BY7Aも結構劣化してしまうことが多いですね。IPが流れないとか、ALCが働かない時はたいていこの真空管が劣化してしまってます。

あとメーターが動かないのは、スイッチ類の接触不良。また、VR類のガリが酷く、洗浄で復活しましたが、ホコリによる皮膜が酷いせいで再発する可能性も無きにしもあらずってところです。

ただ、ホコリまみれだった6146Bは非常に元気で、最初の写真の通りALCが振れるまでドライブするとIPが250mAを超えて130W程度の出力が出てきます。これまで、TS-520, TS-820, TS-830を多数診てきましたが、130Wをマークしたのは初めてです。
まぁ、ほどぼとにしないと、タマの負担が大きくてクタバってしまう可能性が高いですが。

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2015年11月15日 (日)

IC-820D 144MHz送信できない

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ICOM IC-820D  144/430オールモード機。144MHzの送信のみNG、その他はOKとのことでお預かりしました。お初にお目にかかる機種です。

IC-736と共に液晶がNGになるとむ交換パーツが無いため、NGとなると対応が難しい無線機ですね。幸い、この個体は大丈夫のようです。

144MHzの送信のみができないとのことで、144MHzに関わる送信系を調べていくと、クリスタルフィルターを通った後の送信IF信号が欠損してます。それで、IF段を調べると144MHz送信時にあるべき電圧が無いことを確認しました。

マイコンが絡んでいて、回路的には相当複雑・・・。まずは、オールリセットをやってみましたが症状は同じ。JAの送信範囲を超えた場合に送信がインヒビットになる機能が働いているのではないかと、CPUまわりを見てもわかりません。ん?? CPUの不良か・・・だったら私では修理できないなと考えつつも、アタマを冷やして再度回路図を追うと、144MHz PAユニットに送信時のみ電源を供給する配線を発見。そこから逆に回路を辿っていくことで、ようやくCPUからの信号で送信時のIF段の電圧をON/OFFしている場所が特定できました。

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CPUからの信号で、シフトレジスタ―BU4094BFの13番ピンが144MHz, 11番ピンが430MHz選択時にそれぞれHighになることがようやく理解でき、そこをチェックすると、デジトラQ45のベースは144MHz送信でちゃんと5Vとなるのに、出力側が9Vのままで、このデジトラが不良であることをようやく突き止めました。


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チップタイプが手持ちに無いので、挿入タイプに交換。拡大鏡を使っての細かい作業です。

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やっぱり表面実装部品はイヤです。気を使うし目がしょぼしょぼして^^


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その他、リファレンス周波数の再調整(100Hz程度ズレてました)、他の確認をして完了としました。

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2015年11月13日 (金)

TS-600 リストア

600_00 TRIO TS-600 FM受信不能、VFO送信できない周波数がある、SSB/CWパワー少ない、プリアンプ動作せず・・・と多機能不全があるとのことでお預かりしました。長期間保管しておいて、SW ONしたところ動かないということです。

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オーナー様は、愛煙家のようで、全面パネルから内部に渡って、タバコのヤニがこびりついています。これだけ、ヤニが酷いと完全修理ができないかもとまずはおことわりしておいた。とりあえず、ツマミの洗浄。茶色の汁が・・・

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筐体も酷い汚れです。取り外して丸洗い・・・。でも、完璧には取れませんでした。

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例のごとく、VFOもローターのアース不良。分解して接触部分の洗浄です。

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リレー接点も、ヤニが入り込んで接触不良。新品が入手困難なので、接点洗浄。

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FM受信不能なのは、IF基板に大量に使ってある2SC460の劣化。足が真っ黒に腐食してしまってます。交換することで、FMのザー音がばっちりと出てきました。他も併せて、2SC460は14本交換しました

その他・・・

・スイッチ類ほぼ全て接触不良。
・ボリューム類ガリ。
・ジェレレーターユニット調整大幅ズレ。


があり、大規模な補修となりました。ジェネレータユニットのIFT不良が原因と見られることでAMの出力が1W程度しか出ないこととなりましたが、対応不能なため、これで完了とさせていただくこととしました。

愛煙家の方、ご注意ください。内部に煙が入ると、ヤニが接点にこびり付いて接触不良を起こし、トラブル発生の原因となりますんで。

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2015年11月 3日 (火)

FT-757GX 発煙

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YAESU FT-757GX 最近、この機種の修理依頼がとても多いです。それだけ人気が有った機種なのか、それとも検索で“FT-757GX 修理”とすれば、ココが出てくるからなのかは定かではありません。

「煙が出て臭いにおいがした」とのことでお預かりしました。非常にわかりやすい症状です。聞くだけでピンときました^^

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煙が出るってことはたいてい、タンタルコンデンサーの焼損。鼻を突くトンデモナイ臭いがします。ファイナルユニットを開けてみました。

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発見。やはり、オレンジ色のタンタルコンデンサーが燃えてしまってます。左側のも、燃える寸前までに。

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基板を外して、全てのタンタルコンデンサーを交換します。実はコンデンサーのみではなく、交換後組み立ててから送信にならないので、調べていくと送受切り替えに使っている2SA1012も不良となっていました。代替品を手配、巻き添え喰らったようです。

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見事に燃えています。

その他、メーター照明ランプ交換、各部の再調整、24時間のエージングを実施し、問題ないことを確認し、完了としました。

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