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2015年10月

2015年10月23日 (金)

FT-1021X パワー出ない

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FT-1021X 連チャンです。実は、不良箇所が見つからず点検のみとなったのもの含めると3連ちゃん同一機種の修理、こういうこともあるんです。

デジタルモードで運用をやっていて、ファイナルが飛んでしまいファイナルを交換して欲しいとのオーナー様からの依頼・・・・。

しかし、調べてみるとパワーは出ないものの送信にすると、アイドリング電流はちゃんと流れる。FMでPWRを上げていくと Ic が増加していく。これは、ファイナルでは無いと判断。

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原因はこのリレーのところで信号が途絶えてしまってます。ATU ON, OFFするリレーです。

とりあえず、このままブレーク接点を清掃することで、パワーが出るようになりました。しかし、ATUをONにすると全くパワーが出ずATUも収束しません。
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そこで、リレーを取り外してメイク側接点も洗浄。しかし、どうも不安定。同一リレーはディスコンで無いため、接点を観察しながら少し内側へ曲げてみる手段を取りました。

とりあえずこれでATU通過もOKとなりました。

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念のためATU部も、目視チェック。問題は無いようです。

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200回程度ON/OFF繰り返して大丈夫かテストをしましたが、OKだったので、他を点検して完了としました。

yamada_radio_clinicさんとこのブログにも同一症状があって、yamadaさんは大きさの異なるリレーを基板加工して取り付けて解決されたようです。本当は交換すべきですが、基板の加工までとなると大変なのでとりあえずは様子を見ていただくこととします。

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オーナー様が入手困難で高価なMRF422を入手し、同梱いただいたのですが出番がありませんでした。

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2015年10月20日 (火)

FT-1021X サブ受信動作せず

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YAESU FT-1021X デュアルワッチ用のサブ受信機VFO-Bが働かないとのことでお預かりしました。この機種はIC-7600などと異なって、デュアルワッチは完全に独立した回路で動作しており、送信系は全く関係ありません。(デュアルワッチはアイコムの®意匠でしたね。)

調べたところ、全バンドがNGです。ということで、まずはローカル発振器のVCOを調査。

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4つのVCO、全てのスペクトルが狭い範囲でデタラメな発振をしていて、きっちりとロックしていません。これではまともな受信できないハズです。しかし、VFO-Bを回すと、このデタラメな波形が、移動するのでPLLの分周はやっているようです。4つのうち1つだけNGだったらトリマーコンデンサが怪しいと特定できるのですが、そうではありません。

この右側の写真にヒントがあるにもかかわらず、悩みまくることとなりました。

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そこで、基板を外し、単体で動作させてみることとしました。当然、分周データは来ないので、VCOをフリーランで発振させ、そのスペクトルを見ることで、VCOがダメなのか、PLLロックループがダメなのかを切り分けるためです。


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回路はコレ。フリーラン発振させても、なんだか安定していません。VCOに原因があるのは確かです。回路を追ってずいぶん悩んだのですが、4つのVCO全て不安定ということは接続されているバリキャップダイオードが不良となって、全てのVCOに影響を与えているんではないかと。

(答えが図に書いてますが・・・)


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非常に入手困難なバリキャップダイオード、オークションで見つけてオーナー様に手配いたたきました。5つあるうちの特定ができないので、5つとも交換。

・・・・しかし、結果は同じ。
もうどう考えてもわかりせん。。。オーナー様に修理不能で返却しようかとも・・・。


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深呼吸、1日おいて、基板を眺めているとき・・・

あっ・・・


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茶色くなって、腐食したところをホジくってみると・・・そして、その裏面。スルーホールが腐食していて、高抵抗での導通しかありません!!  これだ!!

先に書いた配線図の✕のところで断線(高抵抗となっていた)していたことで、バリキャブのカソード側が高インピーダンスとなり不安定となったいたことが特定できました。

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ジャンパー線で修復、スペアナで見ると、きれいなスペクトラムとなってPLLロックしてくれました。これで、受信ができるように。

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受信ができるようになったのですが、弱かったり強かったりと、まだ問題があります。調べると、外部アンテナ専用入力(BPF-1)との切り替えリレーが接触不良を起こしていたので、周辺のリレーをまとめて交換し、ようやく完了となりました。

部品の手配などで2週間以上、徹夜2回というワタシの能力限界に近かったです。

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2015年10月13日 (火)

TS-930S ドライバー段焼損

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KENWOOD TS-930S お初にお目にかかる患者さんです。オーナー様は大切にお使いだったようで、非常にきれいな個体です。初めて触ってみる機種ですが、質感は大変良くなかなかの無線機ですね。

症状はドライバー段が壊れ、発煙したとのこと。KENWOODのサービスは部品(MRF485)の在庫が無いので修理不能で返却となったとのことです。どんな機種でも診てくれるKENWOODのサービス対応は、他に比較すると素晴らしいですね。

930_01 早速PA部を開腹してみました。MRF485に亀裂が入り、周辺部品が道連れを喰らって派手に炭化してしまってます。

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オーナー様は、MRF485が入手難であることを理解しておられ、MRF485が使われているTS-930V(10W機)のファイナル部をオークションで落札し、当方に修理依頼されてこられました。 (こういう配慮は非常に助かります)

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移植は成功。ソリッド抵抗は完全な炭の状態に。これはかなり発煙があった模様。基板の損傷も少なく、IPAで洗浄することで問題なさそうでした。

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PA部のみでの動作テスト風景。正規の28Vを印加するのではなく、まずは12Vでパワーが出てくるか・・・。ディップメーターを信号源として、入力側に加えてみます。
しかし、直感的に見てゲインが少ない出力があまり出ない・・・。

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詳しく調べてみると、D5のツェナーダイオードも道連れでショート状態になっていました。このツェナーは19Vなのですが、それが破損するってことは、MRF485のC, B間がショートモードで故障し、バイアスラインに、28Vがモロに流れ込んだようです。保護用のツェナーなので、手持ちの9Vの物を付けておきました。

ちなみに、この配線図はTS-940のものです。TS-930の配線図には、このダイオードが入っておらず、回路も多少異なっていて、ロットによってか、回路変更されたようですね。

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12VでのテストはOKとなったので、正規に組み込んでテスト。ばっちり100W出るようになりました。

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これで完了と思って全体のテストをすると、SSB/CW/FSKはOKなのに、AMのみが受信できません。複雑怪奇な配線図を見ながらチェックしていくと、AMフィルターを切り替えるSWダイオードがONせず、途中で信号が途絶えていることに気が付きました。これに、ほぼ1日費やすはめに。

ラインを追っていくと・・・なんのことはない、NARROW , WIDE の切り替えスイッチが接触不良を起こしていて接点洗浄することで、AMの受信ができるようになりました。

<追記>
MRF485は非常に入手困難なため、ネットには2SC1969が代用品ということで多数の記事が上がっていますが、2SC1969は12V系のトランジスタでVceo=25Vしかありません。28Vで使うと、規格オーバーとなります。MRF485はVceo=35V

なぜ「1969が代用品」となったか、ある海外のWebを調べると、2SC1969を代用とする場合は、28Vを3端子レギュレータで12Vにしてから使うように書かれていました。それが、そのまま使えると勘違いして広まったものと思われます。

メーカースペックはある程度の余裕を見て決められていることもあるので、そのまま代替しても壊れないこともありますが、私だったらそういうことは恐ろしくて絶対やりません。

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2015 全市全郡コンテスト

Acag

50MHz CW ハイパワー部門(C50H)で、いつものごとく参加しました。結果は上の通りで、歯抜け時間が多いものの、当局の過去最高得点を出すことが出来ました。

今回、いつもは殆ど呼んで貰えない大阪市内の細かい区からコールがたくさん頂いたきました。スキャッターも発生せず、6, 7, 8エリアが全く出来ていないというのに得点が伸びたのは3エリア内からの参加が多かったからのようです。

ワンエリア向けのコンデションは開始当初は不調、夜中は30分~40分おきに上下していたようです。一番良かったのは、10時JSTぐらいと15時JSTあたり。これだけめまぐるしく変化すると感じたのは初めてです。

いつものことですが、コールいただいたのにどうしてもコピーできなかったものとか、無視してCQ出し続けていたのも多く申し訳ないです。

これで今年もJARL 4大コンテストは終了ですね。

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2015年10月 2日 (金)

IC-736 50MHzの送信のみNG

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ICOM IC-736 50MHzの送信のみパワーが出ない、受信はOKとという症状でお預かりしました。この機種も修理を手掛けるのは初めてです。テストしたところ、HF帯、全バンドOK, 50MHz帯受信OK, 送信3Wぐらいしか出ない。確かにその通りでした。

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これは、送信系で50MHzのみ通る回路に不具合がある と確信し、その回路をローガン厳しい目でチップ部品群を必死で追っていました。確かに、50MHzのみ通るHPFがあり、そこで信号が途切れているのを確認。
736_05 回路は左図の通り。答えを書いてしまってますが、電圧を測定するとダイオードスイッチが50MHzにONになっておらず、HPFを通りません。
50MHz時、ダイオードに流れる直流は TXB(送信時に8Vになるライン) に接続されており、これでは電流が流れず、ダイオードがONになりません。回路図が間違っていることもあり、基板のパターンを追いかけましたが、配線図の通りです。

「どう考えても、この回路だとダイオードがONに
 ならない、これは回路が間違っているのでは??」

「いや、そんなことは無い、これまで動作して
 いたんだから」

「自分で配線を変えようか・・・」


回路動作を必死で考え、丸一日が過ぎました。

・・・・・

ふと、50MHz時に電圧が加わるラインの電圧を測定すると11.5V。少し低いけどHF帯は正常だし・・・。いや、待てよ・・・。

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内蔵SW電源の13.8V出力端子を測定するとやはり11.5V。ここでようやく、13.8Vが低くなったらダイオードがONしないことが理解できました。

13.8Vから、ダイオード3つ、抵抗2つを通して TXB (8V)に流れ込む仕組みになっていたのです。

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13.8Vを調整するところは、この半固定抵抗。これが接触不良を起こしており、接点復活剤を塗布するとこで11.5⇒13.8Vに調整することができ、50MHzでも100WのPowerが出るようになりました。

HF帯正常、50MHz帯受信正常、送信のみNG この症状が電源電圧に関係していると誰が考えるでしょうか?? それも13.8Vが11.5Vに2.3V低くなるだけで!

こんな、へんちくりん、
みょうちくりん、ちんちくりん (笑) な回路を設計した責任者出てこいって感じです。素直に接地に流すようにすりゃいいのに。

冷静になって・・・

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その他、この機種はコンデンサの液漏れが多くネットに報告されているので、チェックしましたが、特に液漏れも無く大丈夫だったので交換はしませんでした。

あと、最初の写真の通りLCDのバックライト照明用電球が切れています。LED化も考えたのですが、ヒューズ型の特殊な電球を使っており、入手が困難でLED化も難しく、またLCDユニット多ピンのハンダ付けを外す必要があるため、見送ることとしました。

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