IC-736 50MHzの送信のみNG
ICOM IC-736 50MHzの送信のみパワーが出ない、受信はOKとという症状でお預かりしました。この機種も修理を手掛けるのは初めてです。テストしたところ、HF帯、全バンドOK, 50MHz帯受信OK, 送信3Wぐらいしか出ない。確かにその通りでした。
回路は左図の通り。答えを書いてしまってますが、電圧を測定するとダイオードスイッチが50MHzにONになっておらず、HPFを通りません。
50MHz時、ダイオードに流れる直流は TXB(送信時に8Vになるライン) に接続されており、これでは電流が流れず、ダイオードがONになりません。回路図が間違っていることもあり、基板のパターンを追いかけましたが、配線図の通りです。
「どう考えても、この回路だとダイオードがONに
ならない、これは回路が間違っているのでは??」
「いや、そんなことは無い、これまで動作して
いたんだから」
「自分で配線を変えようか・・・」
回路動作を必死で考え、丸一日が過ぎました。
・・・・・
ふと、50MHz時に電圧が加わるラインの電圧を測定すると11.5V。少し低いけどHF帯は正常だし・・・。いや、待てよ・・・。
内蔵SW電源の13.8V出力端子を測定するとやはり11.5V。ここでようやく、13.8Vが低くなったらダイオードがONしないことが理解できました。
13.8Vから、ダイオード3つ、抵抗2つを通して TXB (8V)に流れ込む仕組みになっていたのです。
13.8Vを調整するところは、この半固定抵抗。これが接触不良を起こしており、接点復活剤を塗布するとこで11.5⇒13.8Vに調整することができ、50MHzでも100WのPowerが出るようになりました。
HF帯正常、50MHz帯受信正常、送信のみNG この症状が電源電圧に関係していると誰が考えるでしょうか?? それも13.8Vが11.5Vに2.3V低くなるだけで!
こんな、へんちくりん、みょうちくりん、ちんちくりん (笑) な回路を設計した責任者出てこいって感じです。素直に接地に流すようにすりゃいいのに。
冷静になって・・・
その他、この機種はコンデンサの液漏れが多くネットに報告されているので、チェックしましたが、特に液漏れも無く大丈夫だったので交換はしませんでした。
あと、最初の写真の通りLCDのバックライト照明用電球が切れています。LED化も考えたのですが、ヒューズ型の特殊な電球を使っており、入手が困難でLED化も難しく、またLCDユニット多ピンのハンダ付けを外す必要があるため、見送ることとしました。
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コメント
お疲れ様でした。
「ちんちくりんまで行くかー!」って爆笑してしまいました(^-^)
投稿: JF3LCH | 2015年10月 2日 (金) 20時01分
ちんちくりんな設計のウラには、50MHzが付いていないIC-732と共用していて無理やり50MHzをくっ付けたこともありそうです。
投稿: JF3DRI | 2015年10月 3日 (土) 11時20分
この時代のRIGは難儀なものが多いですね。
この機種もTS-850も泣かされました。
しかし原因が電源電圧とは・・
バックライト切れたらどうしようかな~
とにかくお疲れさまでした。
投稿: JK1NMJ@斉藤 | 2015年10月 8日 (木) 05時46分
バックライト電球の交換は70pinもあるLCDの半田を外す必要があるので、相当大変な作業となりそうです。ヒューズ型のランプのLED化はチップLEDを直列接続して何らかの光拡散をしないとダメなので、こちらも難しそうです。
メーカーにポジLCDの部品在庫がもう無いため、この部分をOLED化してらっしゃるOMもいますね。
投稿: JF3DRI | 2015年10月13日 (火) 11時01分