FT-1021X サブ受信動作せず
YAESU FT-1021X デュアルワッチ用のサブ受信機VFO-Bが働かないとのことでお預かりしました。この機種はIC-7600などと異なって、デュアルワッチは完全に独立した回路で動作しており、送信系は全く関係ありません。(デュアルワッチはアイコムの®意匠でしたね。)
調べたところ、全バンドがNGです。ということで、まずはローカル発振器のVCOを調査。
4つのVCO、全てのスペクトルが狭い範囲でデタラメな発振をしていて、きっちりとロックしていません。これではまともな受信できないハズです。しかし、VFO-Bを回すと、このデタラメな波形が、移動するのでPLLの分周はやっているようです。4つのうち1つだけNGだったらトリマーコンデンサが怪しいと特定できるのですが、そうではありません。
この右側の写真にヒントがあるにもかかわらず、悩みまくることとなりました。
そこで、基板を外し、単体で動作させてみることとしました。当然、分周データは来ないので、VCOをフリーランで発振させ、そのスペクトルを見ることで、VCOがダメなのか、PLLロックループがダメなのかを切り分けるためです。
回路はコレ。フリーラン発振させても、なんだか安定していません。VCOに原因があるのは確かです。回路を追ってずいぶん悩んだのですが、4つのVCO全て不安定ということは接続されているバリキャップダイオードが不良となって、全てのVCOに影響を与えているんではないかと。
(答えが図に書いてますが・・・)
非常に入手困難なバリキャップダイオード、オークションで見つけてオーナー様に手配いたたきました。5つあるうちの特定ができないので、5つとも交換。
・・・・しかし、結果は同じ。
もうどう考えてもわかりせん。。。オーナー様に修理不能で返却しようかとも・・・。
深呼吸、1日おいて、基板を眺めているとき・・・
あっ・・・
茶色くなって、腐食したところをホジくってみると・・・そして、その裏面。スルーホールが腐食していて、高抵抗での導通しかありません!! これだ!!
先に書いた配線図の✕のところで断線(高抵抗となっていた)していたことで、バリキャブのカソード側が高インピーダンスとなり不安定となったいたことが特定できました。
ジャンパー線で修復、スペアナで見ると、きれいなスペクトラムとなってPLLロックしてくれました。これで、受信ができるように。
受信ができるようになったのですが、弱かったり強かったりと、まだ問題があります。調べると、外部アンテナ専用入力(BPF-1)との切り替えリレーが接触不良を起こしていたので、周辺のリレーをまとめて交換し、ようやく完了となりました。
部品の手配などで2週間以上、徹夜2回というワタシの能力限界に近かったです。
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コメント
腐食の原因は何なんでしょうか?拝見したところケミコンとは違うみたいですが。
投稿: jf3lop | 2015年10月21日 (水) 00時21分
そうなんです。
あの部分のみ、接着剤のようなものを含めて変色しているので製造時に何か腐食性の薬品がかかってしまったとしか考えられないんです。
写真のTMPコネクターの色を見ればわかるように、内部に湿気が入っており、全体的に錆が出ているのは確かですが。
投稿: JF3DRI | 2015年10月21日 (水) 09時54分
どこかで聞いたことあるなと思っていましたが、この腐食もしかして、「赤リンによる部品端子間のイグレーション」ではないでしょうか。ちょっと前にプラスチック端子に入っているリンが湿度で溶出しリン酸になり端子から発火した、と聞いたことがあります。赤リンは難燃剤に用いられるみたいですが。
http://www.nite.go.jp/data/000055750.pdf
投稿: jf3lop | 2015年10月31日 (土) 21時14分