FT-690mK2 FL-6020 パワー出ず
YAESU FT-690mK2 パワーが少ししか出ない、音質がおかしいと言われたということでお預かりしました。オーナー様は、FL-6020を繋いでいるのに2.5Wしか出ないので、その後に50Wに上げるHL-66Vの入力ATT抵抗を削除して運用されていたとのことです。
まず、調べてみると殆どパワーが出ません。FL-6020の送受切り替えリレーも動作していないようです。細かく調べていくと、TXB(送信時に+Bが加わるライン)が送信にしても電圧がありません。
左側の写真の赤いリード線は、HL-66Vのスタンバイを行うためにオーナー様が引き出したもののようです。このリード線をよく見ると、上蓋と本体の間から強引に引き出したため、挟み込みこまれて、リード線が破損し、シャーシとショートしてしまったようです。
更にこのラインの回路を調べると、全面にあるコントロール基板から送信時のみ電圧が来るようになっていました。上記のリード線がショートしたため、ON/OFFするトランジスターが破損、電圧が来なくなったためと解りました。
このトランジスタは表面実装だし手持ちに無いため、オーナー様がジャンク品として同梱してくれた、もう一方のFT-690mK2から基板ごと移植することとしました。
つづいて、FL-6020を診ると、本体に接触すべきバネが入った3本あるピンの1本が曲がっていました。歪んだまま、強引に取り付けたからと思われます。取り外して、なんとか修復することに成功しました。このピンはALCがフィードバックする端子のようです。
パワーが少なかったので、BPFを再調整することで、出るようになりました。このBPFか良くずれるようで、パワーが少ないといった症状のほとんどはこのズレのようです。
最後に、HL-66Vのスタンバイ用電圧の取り出しですが、1kΩの抵抗を入れてショートしても内部のトランジスタが破損しないようにし、かつ挟み込みでリード線がショートしないよう、苦肉の策として、スピーカ取り付けビスを1本外して、そこから取り出すという方法としました。
古い機種なので、改造は問題ありませんが、現行機種を自分で改造した場合、メーカーは一切修理をしてくれないことがありますので、改造するときは、その回路がどのような回路か、ショートしても大丈夫かなど、きっちりと考慮する必要があります。
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