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2015年5月

2015年5月25日 (月)

TL-922 バンドスイッチ交換、他

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TRIO TL-922 「ハイバンドでパワーが出なくなり、バンドスイッチの故障だと思われます」とのことでお預かりしました。久しぶりに3-500zを触ることになります。

【最初に梱包を開けると・・・・】

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35kgを超える重量物。梱包状態が悪かったようで、残念なことです。これは、梱包の件もありますが、TL-922の構造上の弱点でもあるようです。本体のシャーシに固定せず、両端面のダイキャスト部に片持ち固定しているんで、弱く、海外ペディに運送した方も同様に折れたようで、TL-922を梱包する時は、上面が下になるようにすれば良いと教えてもらいました。

【中身を開けてみると】

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相当使い込んであり、ホコリも多く、まずは清掃からです。オーナー様から「3-500zは使い込んであり、くたびれている」と申し入れがありました。

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3-500zを外そうとすると、片方が妙なとこからスッポ抜けてきました。熱でハンダが溶けてしまったようです。確かに、ずいぶんと使い込んでありくたびれていました。

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TL-922は2本の3-500zのフィラメントを直列で動作させているため、片方のフィラメントが断線すると、このチョークコイルに5Vが掛かり、最悪は焼損してしまいます。LCRメータで調べたところ幸い、ショートしておらず80μHの値があり大丈夫でした。

【バンドスイッチの交換】

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当初、判断ミスでバンドスイッチは悪くないと判断したのですが、最終テストで21/28MHzが出力しないことで発覚しました。

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21MHz, 28MHzの接点が溶融してしまってました。バンドスイッチはオーナー様が準備していただいてました。
【回路のモデファイ】

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RFC、コンデンサを取り除きグリッドベタアースに変更。そして、アースリターンの強化。
(こちらでやったのと同じ)

【新しいタマのインストール】

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これもオーナー様が同梱していただいたものです。堅牢で、最も信頼性のあるAmperex製の3-500zペア品。貴重な品物です。そのまま、SW ONは危険なので、まずはAC200VのところにAC100Vを加えて10時間エージング。200Vの正規電圧として、更に10時間エージングを実施しました。

【その他】

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照明ランプ切れ。この電球は6Vのものですが、手持ちに無かったため12Vを付けておきました。少し暗いですが、10年以上長持ちするものと思われます。

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遊んでいる訳ではなく、スタンバイリレーをON/OFFすると、OFF時にやけに火花が飛ぶので、あれっと思った次第です。これでは、リグ側のリレー回路を壊してしまう可能性があります。

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その原因は、リレーの逆起電力吸収ダイオードが入っていませんでした。DC100Vリレーなので、強烈な火花が飛ぶ訳です。このダイオードは、後期モデル(Kenwoodブランド)にはちゃんと追加されているようです。


ずいぶんと手こずりましたが、オーナー様がいろいろと準備していたたいたこともあり、無事に修理完了することができました。

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2015年5月13日 (水)

TOKYO HY-POWER HT-750 整備

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東京ハイパワーのハンディ機 HT-750 の修理依頼。この機種があるのは知ってましたが、現物を見るのは初めて。ミズホのピコシリーズを意識した作りですね。
電池で動作させた場合、電源が入らないとのこと。2台あるのは、部品取り用に・・とオーナー様が送ってくださいました。

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本命の方は、乾電池の液漏れが原因で、この液漏れはメーカーで一度修復してもらったとのことですが、完全ではなかったようです。電源が入らない理由は、DCジャックにこの液漏れが及んでいて、DC/乾電池切り替え接点が接触不良しているだけでした。

電池ケースや基板、シャーシも再度アルコール洗浄を実施しておきました。

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サービスマニュアルが無いので、配線図を追って調整可能なところを実施することで感度も上がり、良好となりました。
部品取り用にと、もう一台の方も内部の整備/再調整することで問題なく使えるようになりました。性能はともかく、乾電池で運用できるというのが、いいですね。

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修理依頼受付を再開します。

大変お待たせしました。

     修理受付を再開します。


2016年4月2日

※修理受付保留期間中にメール等で依頼を下さった方、公平性を保つために予約リストには入れておりません。再度ご依頼ください。
  (当件は、保留中にメールが届いた時点で個別に返信しております。)

※必ず左にある「修理のご依頼について」をよく呼んで必ずメールでお願いします。未だに、当ブログコメント欄に実名・実住所を記載して直接依頼を書いてこられる方がいらっしゃいますが、セキュリティ面で好ましくないので、予告無しに削除致しますのでご注意ください。


※電話での受付や修理記事に対する質問は
    行っていませんので了解願います。

JF3DRI 西村

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2015年5月 6日 (水)

FT-101E 3台まとめて

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FT-101E をまとめて3台 (うち1台はFT-101ESの100W改品) の修理依頼。3台で2週間近くかかってしまいました。3台とも受信はできるが、送信がNGとのことです。

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そのうちの1台。酷い汚れです。ここまで酷いと、分解清掃をせざるをえません。

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ファイナルボックス無いのBefore After です。

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内部にはクモの巣が多数はびこっていて、死骸もいっぱい出てきました。幸いにも G (Gokiburiさん) とそのはいませんでしたけど。

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全くパワーがでません。調べたところ、ドライバー管12BY7Aへの電源供給用抵抗が焼損。その焼損理由は、YAESUの故障で良くあるキャラメル型マイカコンデンサのショートでした。12BY7Aも巻き添え喰らって、交換となりました。(プレート電源が断となると、スクリーングリッドに多大な負荷が掛かるので劣化)

その他、ありとあらゆるスイッチが接触不良、ボリューム類のガリ・・・かなり酷い状態となっていました。また、ハイバンドで出力が少ないという症状があり、トラッキング調整やトラッキング用トリマーコンデンサの交換もやってみましたが、ダメでファイナルの6JS6Cが劣化していることも否めないため、これは目をつぶっていただくこととしました。

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他の個体も、接触不良が酷く相当な時間を費やしてしまいました。

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3台のうちの1台は、フィルムコンデンサ表面モールドの劣化がありました。これもYAESUのあるロットで起こるようですね。ただし、コンデンサ自体の性能には問題ないようです。全てを交換すると多大な時間と費用が発生するので、問題無いことを確認し、主要なものみ交換しておきました。

あと、送受周波数のズレなどが有ったので調整をしたのですが、この3台でも調整方法が異なっていて往生しました。マニュアルにウソが書いてあるのです。配線図も。

ある程度はFT-101のバージョン (この3台でも11mバンドが付いているのと付いていないものがある) による違いが分かってきましたが、修理する側としては非常にイヤラシイ機種ですね。この機種は、半年~1年をかけて回路を解析しながらゆっくりレストアすべき機種のようです。

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