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2015年4月11日 (土)

430MHz 50W リニア

M430_00

ノースマン M-430 という430MHz 50Wリニアアンプの修理依頼。ポンと音を立てて、動作しなくなったとのこと・・・。聞きなれないメーカーでネット検索しても、殆ど情報が出てきません。モノバンドのリニアアンプだからなんとかできるわ・・・と軽い気持ちでお預かりしました。

まず、中を開けて目視チェックすると・・・。

M430_01

M430_02

プリアンプの切り替えリレーが、飴のように溶けています。そして、そのリレードライブ用のトランジスタが見事に真っ二つに破壊
当初は、リレー接点の接触不良⇒発熱⇒溶けた・・・ ⇒リレーコイルがショート⇒ドライブTrが破損だと推察したのですが、そうではありませんでした。
リレー交換とトランジスタ交換のため、基板を外してみると・・・。

M430_04

M430_03

PINダイオードのハンダ不良を発見。このハンダ不良が、どーしてリレーを溶かすようなことにつながるかを考えてみたところ・・・。

M430_08

M430_07

配線図が無いので、基板パターンから全体像の絵を書いてみました。ハンダ不良だったのはPIN D2です。リレーを溶かしたプロセスは下記のように推理しました。

・マイクロストリップラインで1/4λgに相当する所を送信時に
 PINダイオードでONさせ接地させるべきところをPINダイオードの
 ハンダ不良で浮いていた。
(当初は接触のみで導通していた)
・ここにはリレーのコモン接点が接続されている。
・PINダイオードが浮いた状態で送信すると、1/4λgラインの先端部は
 非常に高電圧となる。(アンテナの先端が高電圧になるのと同じ)
・その発生した430MHzという高い周波数の高電圧により、リレーの
 絶縁に使われているプラスチックが誘電損失によって発熱、溶けた。
・同時にリレーコイルにも高電圧誘起され、リレーコイルの逆起電力
 吸収用ダイオードがショート。
・ダイオードがショートしたことによって、駆動用トランジスタに
 過大な電流が流れ、破損に至った。

M430_05

リレーの逆起電力吸収用ダイオードは、案の定、割れてショート。これは、もう少し大きい逆耐電圧のものに交換しておきました。


そもそも、汎用リレーを430MHzで使用するというのが間違っており、リレーを交換してテストすると、入力に10W入れ、スルーするだけで7Wに落ちるという大きなロスがあります。アマチュアユース、コスト面で仕方なかったのだとは思いますが。

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コメント

高周波の修理技術、勉強になります。

投稿: 居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) | 2015年4月13日 (月) 13時11分

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