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2015年3月

2015年3月30日 (月)

IC-760PRO 感度悪い、パワー少ない

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IC-760PRO 過去にPLLアンロックを修理した個体の再入院。お預かりしたところ、受信感度が全バンドに渡って極端に悪く、送信も10W程度しか出ません。送受共に不良なので、こういう場合は・・・。

1. 3nd IF(69.0115MHz)のどこかが不良。
2. 1st MIXへの局発信号(LO)が不良。


のいづれかと推察されます。まずは1,2のいづれかを決定するため、69.0115MHzの信号をディップメータで発生させ、受信できるかやってみたところ、基板に近づけるだけでS=9+まで振り正常受信します。よって、問題は 2. ということになります。

1st MIXへ供給するLOレベルを見ると正常。だったらMIXerか? 回路をよく見ると、バッファーアンプが入っています。

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このトランジスターを、トントンすると・・・ガツンと受信感度が上がります。
はい、ハンダ不良。

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一見すると、ハンダは問題無いように見えますが、ルーペで調べると発見できました。このトランジスターのエミッターが浮いていたってことです。

周辺部分も併せてハンダのやり直しをやったところ、正常に送受信できるようになりました。

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2015年3月27日 (金)

FT-707 発煙、コンデンサ焼損

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YAESU FT-707 , 電源FP-707 コンデンサが焼損し発煙したとのことでお預かりしました。
そのまま、スイッチを入れたところ鼻をつく臭いが・・・すぐさま電源OFF。
この臭いは、電解コンデンサの液漏れ時、抵抗焼損、IC/Trのモールドパッケージ焼損時の臭いとまるで違います。なんていうか、染み付くような酷い臭い。

シャックを換気しないと居ることができなくなりました。

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原因はオーナー様からの通りで、タンタルコンデンサーのショートモード故障による焼損でした。場所は、100W PAユニット内です。
写真の通り、灰の塊のようになっていて、ドライバーで突くとポロポロと崩れ落ちました。

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PAユニット内には、他にもタンタルコンデンサが多く使用してあり、特に電源ラインのインピーダンスが非常に小さいところに入っているものを全て電解コンデンサに交換することで対応しました。100W機は配線が混んでいて、無理やり押し込んでいるので、組み立ては注意が必要です。

これまでもタンタルコンデンサーのショートモード故障は何度が修理していますが、電源のインピーダンスが低く焼損していたのは初めてです。インピーダンスが低いところではない場合、他の部品、抵抗やトランジスターを巻き添えにしてしまうので、それはそれでやっかいですが。

その他、10/18/24MHzの送信イネーブル化(ダイオードカット)、キャリアバランス、マーカー周波数調整を実施し、完了としました。

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2015年3月22日 (日)

IC-R7000 受信できない

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ICOM IC-R7000受信機の修理依頼。25MHz~1300MHzの広帯域受信機、この手の修理は初めてです。症状は 1.全く受信できない。 2.メインダイヤルがガタガタ

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まず受信ができないところから。スペアナで調べてみると、PLLがアンロックしていてVCOがフリーランしています。詳しく調べたところ、リファレンスにしている12MHzの水晶が発振していません

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発振用のトランジスタを交換してもダメ。水晶をトントンと叩くと発振してくれますが、すぐに発振停止。電源ON/OFFによって発振することもあるが、非常に不安定。
結局、12MHzの水晶が不良でした。そこで、たまたま持ち合わせが有ったHC49Sタイプの水晶に交換してみたところ、発振を開始し、受信が再開されました。

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しかし、受信周波数が正確に合いません。また、100Hzステップでの周波数可変 (この水晶をVXOして可変している) が調整してもうまく可変範囲に入りません。R58がその調整VRなのですが、最小値にしても調整しきれないので、100kΩを220kΩに変更・・・しかし、それでもダメでした。
配線図から、この水晶は12.002MHzで微妙に異なり、12.000MHzではダメなようです。水晶を特注するとか方法はありますが、ここは修理不能として目をつぶってもらうこととしました。

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受信はするようになったものの、感度が悪い。SSGから-80dBmを入れてようやくSが振り始める程度と。
ふと、背面のNコネクタを見ると・・・こりゃダメだ。

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Nコネの中心導体を曲げて接触するようにしてみても、まだ感度が悪い -90dBm程度がようやく検出という程度。コネクタを交換のため分解してみると・・・
          驚愕の事実が!!
ハンダが付いて付いていない。 これでも、VHF~UHFと高い周波数だとC結合で通り抜けるので、オーナー様は感度が悪いまま「こんなもんか」と使い続けてらっしゃったのでしょう。この菱型のタイプは無いので角座タイプに交換することで、感度ばグンと上がり、-110dBmが検出できるようになりました。

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メインダイヤルがガタガタ。これは、分解してみると、固定用のナットがかなり緩んでいました。また、汚れやホコリも多く、金属メッキのスイッチ類もサビています。

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分解清掃、研磨することでキレイになりました。

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2015年3月19日 (木)

FT-102 やはりリレー不良

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YAESU FT-102 この機種を修理するのはいったい何台目なのか忘れてしまった。で、症状は例のごとくPTTのON/OFFで受信ができたり出来なかったり・・・
はい、間違いなくリレーの不良です。

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これも何度も説明してますが、バンド切り替えスイッチの軸が干渉するので、ここのリレーは、ほんの背が高い互換リレーが使えないんですよね。取り付け/取り外しも苦労しますが。

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右にあるのが、互換リレー。ほんの少し背が高いので、取り付けは困難。そこで、接点を洗浄することに。小さな紙に、接点復活剤スプレーを塗布して挟み込んで接点を洗浄、少しこすって表面の酸化物も除去・・・最後にIPAで洗浄。大きな電流が流れて接点が破損する訳ではないのでこれで大丈夫と目論んでいます。

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なぜかSメータが振りすぎ。7.2MHzあたりのCRI北京放送を室内のアンテナ線だけで振り切ってしまうで、Sメータの感度調整実施。その他、リファレンス周波数/キャリアポイント/キャリアバランス/全体のチェックを実施し、完了としました。

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2015年3月 5日 (木)

TS-690D 音がでない

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KENWOOD TS-690D これまでいろんな機種を修理してきましたが、こちらに入院するのは初顔となります。コンパクトで質感も良く大変良い無線機ですね。

症状は「音がでない」・・・ネットで事例を調べると TS-690, TS-450では良くある故障のようです。

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その事例の如く、オーディオ出力段のカップリング電解コンデンサが教科書に載っているように液漏れを起こしていました。これは、耐圧が10Vと小さく、設計ミスなのでしょうかね。

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取り外してみました。基板パターンへの腐食は、なんとか大丈夫のようです。IPAで洗浄し、腐食した部分を十分に削って取り除いておきました。
16V耐圧のものに交換、元気に音が出てきてくれました。

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その他のチェック及び調整。メモリーバックアップ電池も3.3Vと問題ありません。周波数のズレも殆どなく問題ありませんでした。

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汚れが有ったので、ツマミ類を外して洗浄し、完了としました。当機種は旧3アマの25W出力機で、50Wにも改造できますが、オーナー様の意向でそのままとしました。

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2015年3月 4日 (水)

FT-707S 変調かからず他

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YAESU FT-707S SSB/AMで変調がかからず、CWではMOXスイッチ(SENDスイッチ)を押すだけで連続してキャリアが出てしまうということでお預かりしました。

<変調が乗らない>

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回路を追っていくと、マイク入力がどこかで途絶えてしまっています。増幅トランジスタの電圧等は正常・・・
目視チェックをしていると、写真の通りコネクターの所で配線が切れていました。基板の取り出し時の不注意で切断してしまったのでしょう。

<CWが送信しぱなっしになる>

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RFをON/OFFするキーイング回路部が不良と基板を取り出してみると・・・明らかに触った形跡があり、上手とは言えないハンダ付けがしてありました。回路と照らし合わせながら、チェックしていくと、矢印の部分がハンダブリッジとなっており、ここの手直しとハンダのやり直しすることで、すんなりと正常になりました。

結局、この故障は「修理しようとしたところ、よけい傷口が大きくなってしまい、どうすることもできなくなってしまった」本末転倒が原因でした。不良交換した部品は一つもありません。
他の回路も、何やらいじってあり、全てを診るのは無理でした。

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そのほか、Keyジャックが割れていたので交換することに。モノラルプラグでスイッチ付きのモデルは、もう無いようなので、ステレオプラグでスイッチ付きに交換し、完了としました。


回路を理解せずに手を加えて、訳のわからない改造をした機種は修理不可能となってしまう可能性もありますので、ご注意ください。基板を外すだけでも、配線が断線することもあり、そのあたりのノウハウや経験も必要なことも。

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