IC-275 多臓器不全
お預かりしたのは、IC-275 と IC-371D。まずは IC-275 から。照明ランプが切れており、オーナー様からLED化の要望があり、対応することとしました。電源は入るものの、FMモードでザー音以外は何も出ません。そのFMでのザー音も電源を入れた時に出る時と出ない時がある状況でした。
<1.SSBが動作しない>
10.7MHz台のIFに信号を注入しても、全く反応しません。信号が無いのにSSBでSメータが振れっぱなしだったり、RFゲインが全く効かないことでAGC回路がおかしいと判断。IFアンプに使用されているデュアルゲートMOS FETのゲートが異常に高い電圧となっており、マイナス電源が不良だとわかりました。
ICで発振させて、倍電圧整流して-5Vを得るようになっている負電圧生成回路が働いておらず、コンデンサが不良でした。最近仕入れたLCRメータで測定すると一目瞭然。ESR値が3.2kΩと跳ね上がってました。
上左のシールドケース内に収まっているのですが、この交換も結構たいへんです。交換することで-5Vが出力され、SSBもザー音が出てきました。
<2.時々、電源スイッチの入れ方に応じて動作しない>
動作する時もあるし、動作しない時もある。一旦動作してしまうと、そのまま問題無く使える・・・ こういう困った症状が再現。これは、電源回路から基板の半田不良など、相当悩んで時間を費やしてしまいました。ようやく掴んだ原因が PLLのアンロック でした。動作しない時は、ローカル発振出力が無くなっていたことで判断しました。トリマーコンデンサが不良・・・よくある故障ですが、ここまで辿り着くにどれだけ悩んだことか・・・。
交換し、調整することでバッチリと治りました。
<3.照明ランプ切れ、LED化>
オーナー様の要望で、電球色LEDを手配し、交換することとしました。拡散キャップも必要です。
ランプ交換は、これまた非常に大変。シールド板が入っていて、多数のコネクターを外す必要があります。右の写真は、交換して仮に点灯テストを実施しているところ。
<4.メインダイヤルが固い>
撮影してませんが、この時代のアイコム機によくあるグリスの固着が起こっていました。分解して注油することで軽くなりました。
今回は相当手ごわかったです。ネット検索すれば、同様の故障が多いことがわかります。
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