FL-7000 リニアアンプ修理
重い要因は、電源がトランス方式、そしてヒートパイプを使った銅製の巨大放熱板のようです。機構設計は、非常にうまく作ってあり IC-4KLのような力技でやったものではなさそうです。その分、分解も大変で修理屋にとっては、分解やチェックの難易度が高い製品でもあります。
結論から言うと、ファイナルトランジスターのバイアス安定化と温度補償を受け持っているトランジスタのコレクター・ベース間がショートとなっていたことでした。これが、なぜ一瞬、ランプが暗くなるか・・・ ずっとCPUでの制御回路ばかり調べていたので特定に非常に時間が掛かってしまいました。
赤丸と矢印で示したトランジスター2SD880が不良。こいつのバイアス電源は、12V系 (パイロットランプの電源) と同一となっていて、3端子レギュレータ (7808) で安定化してあります。トランジスターがショート状態のため、7808が過電流でシャットダウンすることが一瞬暗くなり、12V系は生きるというからくりでした。
更に、内部をチェックしていると、入力安定化用のアッテネーター抵抗の発熱で半田が外れていることを発見。修復しておいた。これは、狭いスペースに押し込んでいるのと、この部分は通風が無く、この機種の泣き所であるのかもしれない。
トランジスター交換後、バイアス電流の再調整を行い快調に動作するようになりました。放熱板温度によるファンコントロールもばっちり働いてくれます。
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コメント
素晴らしいですね。分かってしまえばですが、僕ならたどり着けたかどうか。
ところで今後のことを考えると、一階部分を改装して重量物専用のラボを開設なさる方が良いかも…(^^;;
投稿: JI3KDH | 2013年10月25日 (金) 19時23分
driさん 今回も難題解決、お見事。私は何てことないTRが壊れたことに関心があります。ただの当てずっぽうですが、その辺に本当の原因が潜んでいるような気がしてなりません。水島
投稿: JA2HVW水島 | 2013年10月26日 (土) 21時25分
JI3KDHさん
シャックをまるごと1階へ移転いれば良いのですが、そうもいかず測定器がある2階まで運ばざるを得ない状態にあります。1階で分解できる品物だったら良いのですが・・・。
JA2HVW水島さん
おっしゃる通りですね。なぜ壊れたかを真の原因を探らないとまた壊れる可能性ありますからね。ここも通風が悪いところだから熱によって壊れたのか・・・RFが回りこんで破壊したのか・・・推定できるのは、それぐらいです。
投稿: JF3DRI | 2013年10月28日 (月) 00時18分
クサイのはBE間破壊でしょうか。パワーTRに貼り付けられた温度補償ダイオードが拾うRFは相当なレベルになると想像されます。この程度のバイパスだとベースはほとんど無防備なので耐圧のないBE劣化が疑われます。いっそBE間をCで結んで同電位にすれば良かったかも知れません。単なる推測に過ぎませんが。測定するにしても高電界近傍では簡単ではありませんね。単純故障ほど難しいものはなく、いつもアタマを悩ませます。
投稿: JA2HVW水島 | 2013年10月29日 (火) 23時50分
JA2HVW水島さん
まぁ、これが壊れた時の挙動が分かりましたので、同じ症状が出れば改善すれば交換すると共にバイパス強化などの対策を考えれば良いことにします。
修理で一番時間がかかるのは、どこが壊れているかの特定です。同じ故障を繰り返すようだったら、その苦労して特定した部分を再度見なおせば良いだけのことです。
投稿: JF3DRI | 2013年10月31日 (木) 07時41分
お疲れさまでした。
これはまた故障しやすいかもですね。
Q03に供給している元のPS基板の方のQ03からの経路に電流を制限できるRが無いのですね。故障したQ03のベースはダイオード2本の接地だけなので、供給側から来るサージはBC間の耐圧だけでまかなっているようです。むしろQ03はBC耐圧の高いものに変更したほうが再発防止にはよろしいかと思います。
投稿: 通りすがり | 2013年10月31日 (木) 20時25分
古い記事から申し訳ありません
現在DU7にて使ってるのですがシャックに行ったときにしか時間がなく先月運用していたところ入力回路あたりだと思うのですが送信したりしなかったりが出始めて帰国前の短い時間で調べたのですが時間不足で解決できませんでした。
帰国してサービスマニュアルを探したのですが見つからず書き込みをさせていただきました。
入力回路か送受信のリレーかなとは疑ってるのですが球と違いCPU制御されてると四苦八苦です。
何か情報があればありがたいと思います書き込みをいたしました。
投稿: kazu260 | 2017年4月15日 (土) 08時09分
kazu260さん
サービスマニュアルは無いようですが、YAESUのWebからダウンロードできる取説に、調整方法と配線図が付いているのでそこから不具合箇所を判断すれば良いと思われます。
http://www.yaesu.com/jp/manuals/yaesu_m/FL-7000_J.pdf
ATUのCPUはどうなっているのか不明ですがメインのCPUはリグからのバンドデーターのデコードと各プロテクション制御しているだけで、そんなにややこしいことはやっていない模様ですが。
投稿: JF3DRI | 2017年4月15日 (土) 15時04分
月末に行って時間があれば安定化回路とATUの動くのがスローなので再チャレンジしてみます。
投稿: kazu260 | 2017年5月21日 (日) 15時52分