新品に近くなったTS-520S修理・・・(完)
オーナー様が手配してくれたランプを交換。前面パネルを組み立て完了。ここでパワーを測定してみたところ、120Wをマークした。ファイナル真空管は問題ない。
しかし、TUNモードでプレート電流が殆ど流れないトラブルを発見。
TUNでは、スクリーングリッド電圧を下げて、過大な電流が流れないようになっている。調べたところ、スクリーンには36Vしか印加されていない・・・ 写真の56kΩソリッド抵抗で分圧しているのだが、このソリッド抵抗の抵抗値がMΩまで上がってしまっていた。ソリッド抵抗は、経年変化で抵抗値が上昇するので要注意。
前オーナーがVFOガリ修復を試みようとし、VFOに貼り付けてあったシールを剥がしてトリマとコイルのコアをいじりまくっていたことは前述した。ダイヤル目盛りを見ながら、周波数の低いところはトリマ、高いところはコイルのコア (逆ヘテロダインのため、このようになる) を何度も何度も繰り返したところ、上下で±1.5kHz以内に追い込むことができた・・・ 現在の無線機だったら1.5kHzは大きな誤差だけど、この当時は1kHz直読って驚異的な性能であったのは確かなんです。 (そのためにマーカーが付いている。)
その他、キャリアポイント、パランスドモジュレータヌル点調整、および28MHzのパワーダウン回路回避を行い、回路的には問題ないようにしました。
<外回りの修復>
外回りじゃないけど、ファイナルボックス、真空管の清掃を行ったところ、キレイになった。
(こんなとこキレイにしても性能良くならないけど)
オクに再塗装済みの上板、下板セットで出品されているのを発見し、オーナーさまが落札し、送付いただきました。結構、キレイに塗装してありました・・・
筐体がキレイになったのに、ビスが錆びていたら台無し・・・ってことで、ピカールでビスを磨きました。ピカールでピカピカに^^
参考までに、ビフォー・アフター
<真空管のためにちょっとだけパワーダウン>
オーナーさまは50Wぐらいで良いとおっしゃってたのですが、真空管にやさしくも込めて、プレート電圧を少し低くする手法としました。
TS-520/820のトランスにある400V, 800Vのタップは実はAC 310V, AC 370V程度であり、400Vタップに切り替えることでプレート電圧を少し低く (無負荷時に950V→ 820V程度)に下げることができます。
こうして下げることで、ローバンドでぎりぎり100W, ハイバンドで70~80Wに低減出力となります。
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コメント
はじめまして。いつもこのブログで勉強させていただいております。さて、私のTS-520Vは、この記事でご紹介されている事例と同様、TUNモードでプレート電流がほとんど流れない状態です。回路の知識はまだまだですが、多少電子工作はできますので、自力で56KΩのソリッド抵抗を交換したいと考えております。そこでお尋ねしたいのですが、カーボン皮膜抵抗で交換する際、定格電力はどれ位のものを使えば良いでしょうか。素人で恐縮ですが、ご教示くだされば幸いです。よろしくお願いいたします。
投稿: 須藤 | 2018年7月19日 (木) 22時36分