FT-757GXⅡ修理・・・(3)
膨大に使用されているスイッチングダイオード。1SS83とかいう型番なのでショットキーかと思えばそうじゃなくてシリコンだった。だったら100本100円のがいっぱいあるんで交換してやろう。
配線図を追って、パワーが出にくかったローバンドを中心に信号の通り道に入っているやつを、ちまちま、ちまちま交換。
しかしこの苦労も全く水の泡。症状に変化ありません。
やみくもはいかん・・・ってことで、PAドライブTr 2N4427 の出力をスペアナを使って信号レベルを測定してみたところのデータが下記。
1.910MHz -14.5dBm
3.505MHz -12.7dBm
7.050MHz -7.2dBm
10.150MHz -2.8dBm
21.200MHz +1.3dBm
28.500MHz +1.4dBm
で、入力レベルは -7dBm付近で全バンドだいたい一定。まず2N4427を疑いますが、直流的には問題なし。Trが正常とすると、周波数が上がっていくにつれ、出力が増加・・・そうか、コイルL は f が上がると信号を通さなくなる!!
結論を書いてしまってますが、コレクターに入っているL53のインダクタンス成分が少なくなると、アース側に信号が漏れるので、こういうふうになりうるとピンと来た。
この推理、バッチリ当たっていました。マイクロインダクターを取り外して、LCメーター (ストロベリーリナックスのキット修理に初登場!!) で測定すると、100μH必要なのに、0.4μHしかない。
「おいおい、前回はオープンで今回はショートかマイクロインダクターさんよ!!」
二つの故障モードを持つとは、いけない部品です。
100μHは手持ちに古いタイプしかなかったので、デカップリングに使われていたものを取り外して、ここに持ってきて古いタイプは、そちらに取りつけました。交換したことで、ドライバー段の出力は +13dBm (20mW)まで上がり、全バンド100Wオーバーを楽々えることができました。
(緑のキノコは要注意。マーブルチョコやキャンディーにも見えるけど^^)
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コメント
さすがですねぇ。西村大明神!!! しかし。断線はわかるけどインダクタンス減というのは納得できまへん。
マイクロインダクタは当然コアを使ってるから熱かなんかでコアが割れたんでっしゃろか。
お見事!!!!!さて ぼちぼち夕食の下準備を始めます。73s
投稿: JA3GN | 2012年3月25日 (日) 16時27分
いろんな症状があるもんですねえ.
インダクタのショートモードはちょっと記憶にありません.
名推理でしたねHi
投稿: Yamada | 2012年3月25日 (日) 17時28分
JA3GN山崎さん、Yamadaさん
めずらしいですよね、こんな故障。いわゆる「レアーショート」が内部で起こったんではと・・・
2つともマイクロインダクターが逝ったのは、他にまだ要因が潜んでいるのかもわかりません。2N4427が発振して異常電圧発生、異常電流とか・・・この石、175MHz用ですもの。そもそも、こういう用途にマイクロインダクターを使うっていうの、いかがなものかと。
投稿: JF3DRI | 2012年3月25日 (日) 21時02分
こんばんは,パワーが出ない757を預かったのですがびっくり,まんま同じ状態でした.
こういうストーリーがあるんでしょうね,757には.
投稿: Yamada | 2012年8月11日 (土) 22時42分
Yamadaさん
FT-757GXⅡの持病なんですかね? コレ。
投稿: JF3DRI | 2012年8月11日 (土) 23時38分
なんか筋書きありそうですよね.
不具合が起きたときの運用状況とかリサーチしてみます.
投稿: Yamada | 2012年8月11日 (土) 23時57分