53年前のトランジスタ式ラジオ(後編)

　ダイヤル糸が劣化して、うまくバリコンが回らない不具合もあるので、中身も掃除がてらリストアすることとしました。
　トランジスタラジオなのに、シャーシを使っているのは、このラジオが真空管⇒トランジスタに変遷する間際のものであることが伺えます。

　木箱内部の側面に貼り付けてあった配線図。最も注目すべきところは 2SBxx, 2SAxx の型番を使う以前のトランジスタを使っていることで。OC-76, OC-71 とか・・・これは松下電器専用の型番だったようです。もちろん、ゲルマニウムトランジスタ。

　反対側側面には仕様が貼り付けてました。でかいスピーカーのわりには出力はたったの100mW !!! 左上に見えるコンデンサ、耐圧250Vなので、真空管用のを流用していることも解かる。

　AFアンプ部のクローズアップ。頭が丸くて黒いへんてこりんなのがトランジスタ。手前の緑色のは、MA23B(バリスタ?)なんだろう。
　出力トランジスタOC76は、放熱板で囲ってある。

＜ダイヤル糸の修復＞

ちゃんと探せば、今でもダイヤル糸はあるんだろうけど、めんどうなので代用品となりそうなものをホームセンターで探したところ、墨つぼ用の糸　(何に使うものかおわかりですよね)　で代用できそうなので買ってみた。

　交換には、少し手間取った。ちょっと細すぎですが、正常に動くようになりました。

　最後に組み立てて動作させたところ、ちゃんと鳴ってくれました。感度も抜群、外部アンテナなんて全く必要なく逆に感度過剰ぎみぐらい。音質は良いとは言えず、低音が出ないキンキンした感じですが、味があってよろしい。
　しかし、50年前のトランジスタ、コンデンサなどが故障せず、全く正常に動作するのはすばらしいことです。