標準信号発生器 hp 8657B
要修理品と言うのは「1020MHz以上は出力レベルが規定より-20dB以上低い」とのこと。この文言でスグに気いたのは「高い周波数帯は逓倍して得ているのでは?」でした。サービスマニュアルをダウンロードしてブロック図を見ると案の定、そうなっていました。その部分のアンプのみ不良であり、1020MHzまでは正常との事なので入札に踏み切りました。
モノが届き、まず驚いたのが「とんでもなく重たい」。スペアナより重いのであります。そして「でかい」。特に奥行きが長くて、設置場所に困りそうであります。
<スペックの概要>
・重量
net 20.5 kg (45 lb);
・外形寸法
133 mm H x 425 mm W x 574 mm D
・周波数レンジ
100kHz~2060MHz
・周波数分解能
1Hz Step
・出力レンジ
+13dBm~ -143.5 dBm (50Ω) 0.1dB step
・絶対レベル確度
<±1.5 dB (> +3.5 dBm)
<±1.0 dB (+3.5 to -127 dBm)
<±1.5 dB (< -127 dBm)
・基準発信機(option001実装)エージングレート
1.0 x 10-9 parts/day after 45 days
・信号純度
SSBフェーズノイズ (in CW mode, at 20 kHz offset)
0.1 to 130 MHz < -124 dBc/Hz (< -130 dBc/Hz, typical)
130 to 260 MHz < -136 dBc/Hz (< -140 dBc/Hz, typical)
260 to 520 MHz < -130 dBc/Hz (< -136 dBc/Hz, typical)
520 MHz to 1.04 GHz < -124 dBc/Hz (< -130 dBc/Hz, typical)
1.04 to 2.06 GHz < -118 dBc/Hz (< -123 dBc/Hz, typical)
・高調波 (+7 dBm output levels)
0.1 to 1.03 GHz < -30 dBc
1.03 to 1.8 GHz < -25 dBc
1.8 to 2.06 GHz < -25 dBc
さっそく、スペアナと共演。まずは、10MHzに設定し、測定してみました。オプションのOCXOが入っているので、10MHzの標準電波 (JJYが無いのでBPM) とビートを取ったところ、1Hzも狂っていない!! 1Hz動かすと正確に1秒周期でSメータが振れるのを確認。これはすごいです。
(流行のGPSやルビジウムと比較するとダメなんでしょうが・・・)
高調波を見たところ、これはあまり良い性能とはいえませんね。スペックが -30dB以下 なので十分満足はしています。
スペアナの帯域(RBW)を絞って観測したところです。この波形を見て良し悪しの評価は私自身でできませんが、変なスプリアスはなさそうです。(カクカクしているのはスペアナを周波数カウンターモードで使っていることもあります。)
スペアナのカウンターも10.00000MHzを示しており、こちらの精度もなかなかのもの。また、レベルも -20dBmに設定して、測定値が -20.57dBmですから問題なし。
2010MHzにセットして見たところです。スペアナは2.6GHzまで測定可能です。
レベルを0.0dBmに設定しているのに、 -24dBmと確かに故障している。でも、アッテネータはちゃんと働いているので、ここから10dB下げるような操作ができるため、これでも実用になります。(こんな高い周波数は使わないけどね)
-140dBmと、大変微弱な信号まで絞ることができるので、受信感度の良し悪しは一発で解ります。宝の持ち腐れとならないよう、活用しないといけません。
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コメント
とにかく馬鹿でかいのが多いですよね。
私のR&SのSGも重くでかくて・・
でもSGはほんと便利で、一番使用頻度が高いです。
私の場合、これとスペアナ、ストレージオシロが三種の神器でしょうか。
下が-143.5dBmとはちょっと凄いかも・・
投稿: JK1NMJ@斉藤 | 2009年12月14日 (月) 23時24分
・ヒューレットパッカード(アジレント)
・ローデシュワルツ
・ウイルトロン(アンリツが買収した)
RFでは、この3つ測定器メーカーが「(超)一流」じゃないでしょうか。
SSG は重いほど良いとも言われているようで、内部のシールドや安定度を完璧にするために、分厚いダイキャストを多用しているからなんでしょうね。
DSOは、単発現象の解析なんかに良いようですが、所持していないので、その有効性は良くわかりません。DSOとまではいかなくとも、画面にV-ppとμS がデジタル表示されるシンクロが欲しいです。(そんなの当たり前か?)
投稿: JF3DRI | 2009年12月15日 (火) 21時32分
ううっ、すごいですね。
でも、こんなのを触っているとあっというまに時間が過ぎてしまい、オンエアできなくなりますよぅ。
投稿: jf3lop | 2009年12月16日 (水) 01時03分
>オンエアできなくなりますよぅ。
確かにその通りかも。
投稿: JF3DRI | 2009年12月16日 (水) 21時28分
このブログ参考にさせていただきました。
私も、今日、HP8657bを入手しました。しかし、私はスペアナを持っていないので、とりあえず、受信機で受信しようとエアバンドトランシーバー(私はJCAB免許を持っている)で121.4MHzを受信しながら、SSGで121.4MHz、AM400Hz変調で、0.0㏈で動作させてみたのですが、まったく何の信号も受信できません。
ちなみに、ラジオバンドで、(例えば、0.14000000Mhz)などで動作させても、ラジオでキャリヤや400Hz変調音が受信できませんでした。
何か操作を間違えているのでしょうか? それとも、SSGの故障なのでしょうか? アドバイス頂けると幸いです。(de.JF3TFK)
投稿: コダカヤスシ | 2022年11月12日 (土) 23時28分
RF ON/OFFスイッチがOFFになっていなければ信号が出てきて受信できるハズですが。
受信機で何も信号が確認できないなら、本体が壊れている可能性が大きいですね。
投稿: JF3DRI | 2022年11月13日 (日) 13時49分
JF3DRI 様
最近私の古いトリオ TS-830Vが故障して困っています。
カウンター表示がどのバンドでも 0 を表示したままです。 VFO出力、Counter基板の各入力端子は正常な
ようです。 どこから調べていったらよいかご教示ください。 シンクロ、回路図 サービスmanualはあります。
投稿: R Wada | 2022年11月21日 (月) 21時05分
カウンター部がに不具合あるのか、VCO系に不具合あるのか切り分けて診ていく必要ありますね。当方も830の配線図を丸暗記している訳ではないので、回路を追う必要があり相応の時間と労力が必要となります。それを個別に対応するには限界があり、当ブログのコメント欄のみで指示するのは不可能です。
Facebookのレストアグループなどに加入して、多数の人から指示してもらうのが良いと思います。ただ、その指示が正しいかどうかは自分で判断する必要ありますが。
投稿: JF3DRI | 2022年11月22日 (火) 13時06分