3-500Zじゃないよ
一見すると3-500Zにも見える3極送信管、実は全く違うものです。
TB3/750(5867A)というもので、欧州系の送信管であります。この真空管の存在は、PA0FRIのWebタイトルにもなっており、以前から気になっていました。
どんな規格をしているのか主なところは・・・。
・フィラメント電圧/電流 5V, 14.1A
・最大プレート電圧/損失 4kV , 350W
・最大グリッド損失 40W
・増幅率 μ 25
3-500Zと大きく異なるところは、増幅率μが25と小さく、ゼロバイアスでは使えないことです。ちなみに3-500Zは160~200。
例として、B級ppの動作例を規格表から持ってくると
グリッド電圧をかなり深いマイナスに持ってこなれけばなりません。これは450THなどに近い特性です。また、プレート損失は350Wと小さいですが、グリッド損失は40Wと大きく、丈夫だと思われます。
Eimac 3-500Zとの比較ショット。高さは、500Zより背が低く、回路の工夫さえすればパワーは落ちるけど、有力な差し替え候補となりそうです。流通は非常に少ないですが。
<赤熱させてみた> 6/28 追記
例のごとく、負荷を掛けてみた。μが低いので、まずはグリッドをマイナス側 (約 -20V ) に振ってからプレート電圧800Vを印加。これでもカットオフはせず、プレート電流が流れた。じわじわとグリット電圧を上げていくと、ゼロポルト時で約140mA。ただ、これでは損失100W程度なんで赤熱はせず、極性を逆にして、+6Vとすることで約200mA流れ、損失150W付近が写真のような赤熱ぐあい。電流暴走も無く、ひとまずは安心です。
グラファイトプレートなんで非常に熱慣性が大きく、5分ぐらいしてやっとこの状態になります。冷めにくいのも当然で、フィラメントが切れてからも3分ほどは赤熱が残ったままで、冷却ファンディレーは改めて長くする必要があることを感じさせられました。
#夏に向かって暑くなってきたので、これ以上の赤熱はやめです。
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コメント
「ユニバーサル・リニア アンプ」…どこかでお伺いしたコンセプトですね(^^) 当然差し替えて実験、を考えていらっしゃるんですよね? しかし面白いタマ見つけてきはりますねぇ。検索にかかって人気が出る前に入手しとくべき、かな?
投稿: JI3KDH | 2008年6月23日 (月) 21時27分
2本入手できていない(たぶんできないと思う)ので、PPアンプには採用できないでしょう。試してみるのなら、500Zシングルの方かな。
もともと、このタマはPhilipsとAmperexぐらいしか製造しておらず、また高周波加熱器とか工業用なので、絶対数が少なく、GGで扱いにくいので人気が出るところまではいかないでしょう。
この系列では、もう少し大きなものとして、TB5/2500というプレートが四角いブロック形状をした、P損失800Wのというのがあります。中国系のサイトでは6T50(何故だか日本名を使っている?)となっており、製造はされているようで、時々オークションに出てきます。
投稿: JF3DRI | 2008年6月23日 (月) 22時33分
先日イーベイでアイマック製の5867Aを15ドル程で入手しました。送料が25ドル程とこちらの方がたかくなりました。自作のチューブテスターで試したところプレート電圧約360Vでグリッド電圧/プレート電流+2.5V/79.8mA, +6.4V/101.1mA, +10V/121.0mAとなりました。管内はきれいで使用感がなく未使用に見えます。円形の五重の塔のような頑丈なカーボンプレートをみるといかにもタフな球に見えますね。フィラメント電流が15Aもありますからオーディオアンプに使う気にはなりませんが存在感はありそうです。
投稿: サカイ | 2014年10月18日 (土) 15時10分