2025年7月14日 (月)

TS-180S/V 久々の修理記事 WARCバンド改造(その3完)

私が老いぼれて長時間の回路解析が続かなくなったのが要因ですが、難航しています。回路を追うに、一度中断してしまうとまたイチからやり直しになって時間ばかりかかってしまうような感じ。気付いたら完徹していたなんてこともあったのですがもうそんな気力も体力も続かなくなってしまってます。

<メモリーバックアップ電池の謎>

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こんなカタチのバックアップ電池、見たことありません...リチウム電池なのか?  水銀電池なのか??
画層検索しても出てきません。電圧は回路図から4.5Vということのみしか。


Xで尋ねても回答が返ってきません。ただ大きなヒントが

「それ、電池ケースではないですか?」

やっと解りました...
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相当悩まされました...
(これは初見にはわからん!!)

<送信拡張のダイオードマトリクス>

1.8MHzは1912±2.5KHzのみ
3.5MHzは3.575MHzまで
7MHzは7.1MHzまで

旧バンドプランにガッチガチにしてあります。

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【問1】上記のダイオードマトリクスでバント拡張したく取り外すべきダイオードを述べよ。


これはサービスマニュアルにDistination (仕向け地)が書かれていて図のダイオードをカットすることで米国向けとなってバンド送信拡張ができました。

<ALCメーター調整の謎>

28MHz帯のALCメーター感度の調整がサービスマニュアルに書かれています。
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配線図では...

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しかし、回路を追うとVR11は28MHz帯ではなく10MHz帯なんです。
じゃぁ、28MHzはどこに???  配線図からすると U という端子が怪しく全部回路を追ったのですが調整VRらしきものはどこにもありませんでした。サービスマニュアルの間違いか、あるいはWARC付きモデルは別なのかもしれませんがお手上げです。

対処としてはALCの振れが悪いだけであってちゃんと制限はかかるのでこれ以上の深追いはしないことにしました。
(私の能力の限界)


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キャリアポイント、リファレンス、基準電圧、バンドトラッキングなどいろいろと調整して完了としました。100Wきっちり出ないバントもありますが、このあたりも限界ってところです。という訳で完了と致します。なかなか手ごわい機種でした。

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2025年7月 2日 (水)

TS-180S/V 久々の修理記事 WARCバンド改造(その2)

期間があきましたが続きです。

WARCバンドが送信Disableになっていることは簡単にわかって対応しましたが送信での出力がほとんど出てきません。
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送信に対応するWARC BAND BPFが全く調整されておらず、ここをADJすることでパワーが出てきました。このBPFだけで3 x 9 band = 27箇所あって製造時に全て調整必要なので、このころの無線機がいかにコストかかっているのか再認識させられました。

余談になりますが、この機種以降はIFを30MHz以上のUP Conversionになり、いわゆるゼネカバになったので固定LCによるBPFとなりADJ.の必要はなくなりました。更に、今はSDRとか直接A/D変換するとか更に部品点数が減ってコストも大幅に削減されたハズです。

<TS-180Sから100W PAの移植>

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ファイナルの石はSRF1714、TRIOのロゴマークが入ったモトローラー製のものが使われていました。初めて目にする石ですが規格からすると MRF454 に近い感じです。


<なぜだか3.5MHzがパワー出ない>

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 80mバンドのみ何故だかパワーが出ません。ICは流れるので出力側に入っているLPFが通っていない感じ。TS-180S側のLPFユニット毎交換するのが手っ取り早いので、ここまで分解したのですが...こちらは10/18/24MHzが入っていないことに気づいて入れ替えはダメだと。

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スペアナ登場で特性を測定してみました。原因はロータリースイッチの接触不良のようで洗浄することでちゃんとしたLPFの特性が得られました。メカ式のロータリースイッチなのでカチカチ切り替えて特性測定でき、チェックするのはこの原始的なのが簡単かも。

基板裏面のはんだ付けもクラックが怪しいところがあったので念の為やり直しも実施しておきました。

<TUNEバリコンのカップリング>

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TS-820/TS-830でも使われている白いシャフトカップリング、経年劣化でクラック入ってました。交換必要です。

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これまで幾度となく交換しているので一つだけ在庫が残っていました。アサ電子工業のUJ6-6という型番で現在でも製造されており、入手は簡単なようです。

(更に続く)

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2025年6月22日 (日)

TS-180S/V 久々の修理記事 WARCバンド改造(その1)

過去に修理を承ったオーナー様より、TS-180SとTS-180V(WARCバンド付き)の2台があるから、TS-180S(100W機)をWARCバンド付きに改造し整備して欲しいと依頼があり、お受けしました。

<TS-180S>
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初めて目にする機種です。
発売当初から知ってましたがあまり気にならなかったモデルです。
バンドスイッチのJJY , AUX-1, AUX-2 にWARCバンドを割り当てるようです。

<TS-180V WARC付き>
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バンドスイッチには10MHz, 18MHz, 24MHzが付いています。
また、10W機のため電源が背面に付いていてAC100Vでそのまま運用が可能となってました。

改造の方向性としてTS-180SにこのTS-180Vの中身を移植するより、TS-180Sのファイナル部分(100W)のみをTS-180Vに入れ替える方が良いと判断ました。理由としては...

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オーナー様がKenwoodより、TS-180 WARC無しモデルをWARC付きモデルに改造するCK-18というキットが存在し、その取付マニュアルを取り寄せていただいており、その中身を熟慮した結果、非常に高難易度で対応に相当な時間と技術が必要そうだったからです。また、古い機種なので作業中に機構部品の損壊などが起こると取り返しができない危険性があり、なるべく避けたいからであります。

<TS-180V WARCバンド表示の怪...>

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方向性が決まったので、まずはこのTS-180Vが正常動作するかどうかを確認する必要があります。で、18/24MHzを受信してみると...写真の通りMHz帯が表示されません。まずは、これの修理が必要だとなんども回路を眺めたのですが、カスタムマイコンで制御されていてやり方がどうやってもわかりません...WARCバンド付きモデルのサービスマニュアルも見つけることができません。

これは困った...ということでオーナー様に尋ねてみましたが「表示しないのはおかしいのではないか、するハズ」との回答...

いや、これは「表示しないのが仕様ではないか」Twitterで問い合わせてみてもレス無し。WARCバンド付きモデルというのが極端に少ないようで情報が見つかりません。

Youtubeで検索してみたところ...

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あるブラジルの局がTS-940とTS-180を聴き比べている動画を見つけ

        やっぱり表示されないのが仕様やん!!

ということでした。

表示の件が一件落着し、次は送信のチェック

やはり10/18/24MHzは送信されず、受信のみしかできません。

<TS-180V WARCバンド送信の怪...>
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サービスマニュアルの配線図を追ってみましたが、WARCバンドの件は書かれていません。送信時のみ通るBPFですが、なぜだか誤魔化してあります。矢印のところが全て接地に落としてあるよう書かれてますが、これでは信号が通りません。うーん、これは安易に送信改造ができないよう、わざと誤魔化してあると判断です。
(実際、サービスマニュアルには間違いやこういうのはよくあることです)

じゃあ、実物を見てみましょう...ということで。

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うふふふ、でもこれは瞬時にわかったよ私の勝ちだ!! こういうのを突破しないとね。

(続く)

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2025年5月14日 (水)

可変BPFを作ってみた、その後盛大に発振してしまう

ダイレクトコンバージョン受信機の入力側に入れる狭帯域のBPFをバラックで作ってみた。

外観、配線図はこんな感じのもの。

D_conv_14

20250512-144027

良くある2セクションの同調回路をCで結合させたもの。手持ちの部品で作ったし、コアへの巻数も適当で4μH前後となりました。結合用のトリマーコンデンサは小さくすると帯域が狭い単峰特性となり、大きくすると双峰特性となります。

スペアナで測定してみるとこんな感じの特性が得られました。

 


6MHz~18MHz程度まで可変することができましたが、11MHz付近を超えると特性が破綻するのでダメなようです。よって7MHz帯と10MHz帯の2バンド用に限定されます。他のバンドも受信したい時は、バンド毎のBPFを作ってリレーやダイオードで切り替えるのが良さそうです。

早速、ダイレクトコンバージョン受信機に接続してみたところ...

なんだかおかしい...

・音が歪む
・時々ぴぃーぎゃー音
・RFアンプに手を近づけると酷くなったり収まったり
・横にあるパソコンのWiFiが突然切断された...

これはRFアンプが発振しているなぁ~とピンときた。

スペアナをフルスパンにしてどこで発振しているかを探ると、1.1GHzと高い周波数でハデに発振していました。

D_conv_12

デバイス不明のRFアンプ基板は0.1~2000MHzと書かれています。最近のこの手のRFアンプIC (MMIC) はゲインが20dB以上で上限も数GHzに達するのが一般的で、何かの原因で発振しても不思議ではありません。

発振を停止させる方法を探ってました。

まず、BNC <--> SMA変換コネクターで直接接続した状態で発振...

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それを同軸ケーブルで接続すると発振停止...

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高周波あるあるの不可解な現象。高周波の手練れ技術者だと
「入力マッチングがおかしいのでこうなる」と気づくはずです。

そこで、3dB PAD (18Ω/300Ω/18Ωをパイ型に組んだもの) を構成したところ、発振は収まりました。
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測定していませんがRFアンプ基板はゲインが高いので何ら問題はありません。出力側にも入れたほうが安定するとかもしれません。


とりあえずは完成しましたが、フルサイズのダイポールをつなくと夜中のCRI北京放送などの電波で飽和して7MHz帯に同調すると常時聞こえるなんてこともありますので入力側にON/OFFできる10dB程度のアッテネータを入れるとより実用的かもしれません。

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2025年5月11日 (日)

Aliexpressで安く購入できるモジュールを使ってダイレクトコンバージョン受信機を作ってみる


AliexpressにはICやパーツを実装済のモジュール基板が多数販売されていますが、それらを活用することで高度な技術スキルを必要としないでそれらを単純にパズルのように接続していくだけで自作を楽しめるんではないかという考えでモジュールを集めてみました。

ダイレクトコンバージョン受信機ですがアンテナさえまともなものを接続すれば7MHzで使うにおいては、十分な感度が得られました。ただ、AGCが無いので強い局は爆音で飽和気味になってしまいます。フィルターが入っていないのでSSBは、送信そのものの良い音質で聞こえます。CWを専門に受信したい場合はAFに800Hz付近でカットするAFフィルターか可変APFのようなものを入れれば良さそうです。

購入したモジュール、部品は...
D_conv_02
20250507-112944

いづれも高価なものではありません。

回路(接続)はこんな感じ。

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20dBアッテネータはこんな基板を使う必要は無くて抵抗で構成(68Ω、270Ω、68Ωのパイ型)しても十分です。ただ、入力側には目的周波数にあったできるだけ狭帯域のBPFを入れる必要があり、不要周波数をカットしないとRFアンプが飽和して雑音だらけや中波放送が常時混入してしまうということになってしまうので要注意です。

ちなみに仮にプロ用の強力な可変BPFを入れてます。
Bpf

ここまで強力なBPFは不要なので同調回路を2つ接続したBPFを構成すれば良いでしょう。

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2025年4月10日 (木)

160m DXCCと5B DXCC盾のメダルが届いた

米国コネチカット州より、届きました。早速、額に。
#4,050 で長いDXCCの歴史からしてもそんなに多くの局が完成している訳じゃなさそうです。

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申請時にコメントで書いておいたメダルとエンドースメントのステッカーも同梱されてました。
Mixedと6mしか申請していないので、150が6m用で275, 300, 305 がMixed用であるようです。Mixed用の3つが入っていた理由は不明。

160mdxcc_02_20250410081201

メダルも早速、5B DXCC 盾の定位置に貼り付けました。2mが残ってますが、EMEをやるような気力も財力も無いのでメダルはこれでおしまい。一区切りが付いてアマチュア無線の運用に対してのモチベはこれで一気に消滅してしまった面も。

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電離層反射で交信できる上限と下限、2013年に取得した6m DXCC (#1,276)と撮影してみました。部屋の中に掲示しておくだけでも相当色褪せてしまっていて年期が感じられます。

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2025年3月13日 (木)

LoTWから160m DXCCの申請

LoTWから160m DXCCの申請してみました。
過去にやっているので思い出しながら...

Lotw_01

160mだけで良く他のバンドは不要ですが、めんどうなのでNew Entityは全部エンドーズすることにしました。その分全部に料金がかかりますが。

Lotw_02

2025年は申請していないのでここは NO ですね。

Lotw_03

アワードは160mだけ欲しいのでここにチェック。

Lotw_04
Lotw_03_1

5 BAND DXCC 盾(プラーク)に貼り付ける160mバンドのメダルは欲しいのでコメント欄に書いておきました。前の申請時に、このプラークも欲しいと書いたのですが受け付けてもらえなかったのでダメかもわかりません。その場合は、ARRLのWebより所定のフォーマットがダウンロードできるのでそれに記入して送付の予定です。

$115 + メダル分と結構な費用になってしまいますが、40年近くかかってやっと完成したんだから良いだろう...という考えになってしまいますね、このあたりがJARLと違ってARRLのDXCCという強力なビジネスモデルを持つ強み。

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2025年3月 3日 (月)

ガンバっても交信できなかったの報告

DXerさん達のブログってたいがい「◯◯と交信できました!!」報告が多く、私もその傾向がありますがガンバってもQSOできないことも多くその報告でもしてみます。

4S7SPG スリランカの160mであります

(1) 2月23日 16:00z~18:00 台(夜中の1時~3時)
20250223-012521

初めて見えたのですが何度呼んてもダメ、応答ありません...


(2) 2月24日 16:00z~18:00 台(夜中の1時~3時)

20250224-234718

JAの誰にも応答ありません...この日も私の設備でQSOできる可能性ありません。


(3) 2月25日 16:00z~19:00 台(夜中の1時~4時)
20250225-012147

初めて応答がありました。しかし、RR73貰えず尻切れ...
このように時々QSBを伴って信号が浮いてくる、けれど見えている時間は1分と持たない。

(4) 2月26日 16:00z~19:00 台(夜中の1時~4時)
20250226-004914

2回目の応答がありました。しかしまたしても前日と同じく、
RR73貰えず尻切れ...(ガーン!!)

(5) 2月27日
20250303-175121

この日もQRVしてくると期待してワッチしていたのですが、一向に出てきません。
80mでの運用は確認していたのですが...

公式Webを見ると 「160mの運用は終わったよ」 ガーン!
868局の中には入れませんでした。

この5日間、毎晩遅くまで追いかけましたがリターン有ったのは2回だけ。それも尻切れで結局はQSOできず、ペディションは終わってしまいました。けれど、深夜までの追いかけはこちらの体調を崩しかねなかったのでこれで良かったのかもしれません。

結論として 楽しかったよ4S7SPG!!!

できなかったお話でした。

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2025年2月27日 (木)

1.8inch TFTを使ったGPS時計

時計の製作はもういい...といいつつも1.8inch TFTを多数仕入れたので実用的なGPS時計を作ってみました。

配線図はこれです。

20250227-231407
処理が遅くぬるぬると動く感じですが、これはこれで味があります。Arduino NANOにすればもうすこし早く表示されるでしょうけど、TFT LCDとの間にレベルコンバータを入れる必要があります。

もし、作ってみたい方がいらっしゃるようでしたらArduino のスケッチ配布は可能なので連絡ください、バグはあるかもしれません。フォントを変えたり、色を変えたり、年や日時の位置を変えたり遊べると思います。

エラーが出たので対応方法をイチから教えて君が登場するのでスケッチの配布はやめます。Arduinoのインクルードの意味がわからない、エラーの内容が理解できない、自分で解決できない人はお断りです。

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2025年2月18日 (火)

ウチの環境でDXするに必要なパワー

SSNが高い時期と仮定してバンド別にDXCC達成する必要な出力
異論はあると思うけど...

20250218-203657

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