FL-2100B 整備
YAESU リニアアンプ FL-2100Bの修理依頼です。パワーが出にくく整備して欲しいとのことでお預かりしました。オーナー様は、送信管572Bを2本も準備していただており、真空管不良だったら交換して欲しいとのこと。
まずは目視チェック。すぐに気がついたのは、パラ止めの抵抗が焼損して
しまっています。
取り外すと、片方はボロボロ、灰のような状態となっていました。
過去、自作の4-400Aアンプでいろいろ実験したところ、セメント抵抗でも使えることを確認しています。念のため、LCRメーターで測定してみたところ、インダクタンス成分は殆どありませんでした。
内部清掃も兼ねて、更に目視確認。インターロックスイッチに付けてある47kΩがハデに焼損しています。これは、RF部のカバーを外して電源ONしたために、47kΩに2,400Vが印加され、瞬間的に破損したと考えられます。
このインターロックは電源OFF後の電源平滑コンデンサーのディスチャージを目的としており、電源ONしたまま外すと、焼損/断線し、高圧が印加したままになりますので、大変危険、安全対策としては不十分な設計です。
バンドスイッチも相当な汚れがあったので接点洗浄しておきます。
真空管や、内部も清掃し、きれいにします。
裏面をチェックしていたら、バイアス調整用のレオスタットに紙が残っており、レオスタットとしての働きを全くしていていないことを発見。これは製造時のミスですね。出荷検査時にバイアス電流を測定しなかったのでしょうか??
紙が残ってスライダーが絶縁されている状態だと、バイアス点が深くなるけど、IPが少なくなるが流れ、パワーも出るのですり抜けたのかもわかりません。
ここまで整備し、動作させたところ、正常にパワーが出ますがIPメーターの振れが異常に小さい。200mAしか流れていないのに500W出てくる・・・。IPメーター回路に何か不具合があります。
原因はIP測定のメーターシャント抵抗がショートして抵抗値が低くなっていることでした。写真右側のように巻き直しすることで正常になりました。
真空管もそれぼと劣化しておらず、まだ十分使えそうなので交換の必要はなさそうです。
思ったより、あちこちが劣化、焼損しており修理には時間がかかってしまいました。無理にパワーを絞りだすような使い方はダメですが、400W程度に押さえて使うなら、このFL-2100シリーズは良いアンプだと思います。
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コメント
初めまして、
世界中探して初めてパラ止めにセメント抵抗を使った
アンプを拝見しました。
ではセメント抵抗の外にあるコイルのインダクタンスは
いくつだったのでしょう?
あと、とっても高そうなインダクタンスメーターですが、周波数はいくらで測定したのでしょうか?
せめて10MHzはないと話にはならないと思います。
投稿: JA0BZC | 2016年8月16日 (火) 23時55分
自作の4-400A AB2級GG push pullアンプでパラスチック発振に悩まされた時に金属皮膜や無誘導抵抗と遜色無く使えた経験から使っただけであって、バカにされている中国製の安物LCRメーターは単なる目安にすぎないです。
AG6K Measures氏のLow VHF-Q parasitic suppressor コンセプトもニクロム線を使ったものということで。
投稿: JF3DRI | 2016年8月17日 (水) 17時25分